大本命7モデルを野村ケンジが一斉テスト
DSD対応USB-DAC一斉レビュー<第6回>マイテック「Stereo 192-DSD DAC M」
DSD対応USB-DACを7モデルにわたって一斉試聴する今回の企画。第6回目は、DSD音源のDoP再生にいち早く対応した米国MYTEK DIGITALの「STEREO192-DSD DAC」(関連ニュース)をレビューする。
※第1回 ラトック「RAL-DSDHA1」「RAL-DSDHA2」のレビューは(こちら)
※第2回 コルグ「DS-DAC-10」のレビューは(こちら)
※第3回 フォステクス「HP-A8」のレビューは(こちら)
※第4回 ティアック「UD-501」のレビューは(こちら)
※第5回 コード「Qute HD」のレビューは(こちら)
■米国プロオーディオ・ブランドの先進モデル
アメリカ、ニューヨークに本拠を置くMYTEK DIGITAL社は、レコーディング・スタジオ向けのD/AコンバーターやA/Dコンバーター、クロックジェネレーターなどを手がけるプロフェッショナル機器メーカー。その同社が初めて手がけるコンシューマー向けDACというのが「STEREO192-DSD DAC」である。
こちらの製品、プロフェッショナル向けメーカーがリリースするだけあって、多彩な入力端子を用意しているのが魅力のひとつとなっている。たとえばUSBは、2.0対応と1.1対応で2ポートが並んでいるし、当然のようにFireWireも装備。この他にも、同軸デジタル、光デジタル、AES/EBUなど、多彩なデジタル入力が用意されているため、幅広いオーディオシステムでの活用が可能となっている。さらに、外部クロックとの接続ができる点も、プロフェッショナル向け製品を手がけるメーカーらしいメリットだ。
なお、「STEREO192-DSD DAC」には、プロ向け仕様とコンシューマー向け仕様の2バリエーションが存在している。このうち、フロントパネルがブラックのプロフェッショナル向け「M(マスタリングバージョン)」では、これらの入力端子に加えてSDIF(DSD raw)入力のBNC端子を装備する。
一方、シルバーのフロントパネルを採用するコンシューマー向け「P(プリバージョン)」では、SDIF用端子のかわりにRCAアナログ入力端子を装備している。1系統ながらアナログ入力を用意し、ボリューム・コントロールとの組み合わせでプリアンプとしても活用できるバリエーションが用意されているのは、確かにありがたい。
とはいえ、両バージョンにこれ以外の違いはないため、プロフェッショナル向け、コンシューマー向けと意識せず、システムと価格によってチョイスするのが得策といえる。なお対応フォーマットは、USB(2.0)とFireWireが最高192kHz/24bitのPCMおよびDSD、それ以外は最高192kHz/24bitのPCMのみとなっている。またDSD対応ドライバーは、WindowsがASIO、MacがDoP(DSD over PCM)と、異なるタイプが用意されている。
さて、今回は「M」バージョン、フルネームでいうところの「Stereo192-DSD DAC M」で試聴を行った。まずはPCMハイレゾ音源から聴き始めてみる。音色傾向としては、とてもストレートなイメージ。プロフェッショナル向けメーカーらしいというべきか、カラーレーションが全くといっていい程感じられず、本来の音を素直に、かつ取りこぼしなく丁寧に拾い上げてくれる印象だ。特にエッジが強調されているわけではないのだが、フォーカス感が高く、S/N感もかなり良好なので、細部の表現がしっかりと伝わってくれる。おかげで、ボーカルなどはリアルさ溢れる歌声が堪能できた。
続いて再生したDSD音源も、基本的なキャラクターは同じ。ストレートで丁寧な表現に、DSDならではの抑揚表現のきめ細やかさが加わって、音のリアルさがさらに高まってくれている。特にクラシックなどは、演奏が行われたホールの様子までもが手に取るように感じられるので、情報量の多い良質な音源を次々と再生したくなってくる。聴き応え十分のサウンドだ。
プロフェッショナル機器メーカーらしい、奇をてらわないストレートな音楽表現が、「STEREO192-DSD DAC M」ならではの魅力といえる。PCMとDSDで、音色傾向が大きく変化しないところも美徳といえるだろう。ありのままの演奏を存分に楽しみたい、という人には、ピッタリの1台だ。
【執筆者プロフィール】
野村ケンジ
ホームシアターやヘッドホン、音楽関連、カーAVなどの記事を中心に執筆活動を展開している。100インチスクリーン+TADスピーカーで6畳間極小ホームシアターを実践。さらに現在はステレオと7.1chの同居計画が進行中。好きなクルマはアルファ・ロメオなどのイタフラ系。
※第1回 ラトック「RAL-DSDHA1」「RAL-DSDHA2」のレビューは(こちら)
※第2回 コルグ「DS-DAC-10」のレビューは(こちら)
※第3回 フォステクス「HP-A8」のレビューは(こちら)
※第4回 ティアック「UD-501」のレビューは(こちら)
※第5回 コード「Qute HD」のレビューは(こちら)
■米国プロオーディオ・ブランドの先進モデル
アメリカ、ニューヨークに本拠を置くMYTEK DIGITAL社は、レコーディング・スタジオ向けのD/AコンバーターやA/Dコンバーター、クロックジェネレーターなどを手がけるプロフェッショナル機器メーカー。その同社が初めて手がけるコンシューマー向けDACというのが「STEREO192-DSD DAC」である。
こちらの製品、プロフェッショナル向けメーカーがリリースするだけあって、多彩な入力端子を用意しているのが魅力のひとつとなっている。たとえばUSBは、2.0対応と1.1対応で2ポートが並んでいるし、当然のようにFireWireも装備。この他にも、同軸デジタル、光デジタル、AES/EBUなど、多彩なデジタル入力が用意されているため、幅広いオーディオシステムでの活用が可能となっている。さらに、外部クロックとの接続ができる点も、プロフェッショナル向け製品を手がけるメーカーらしいメリットだ。
なお、「STEREO192-DSD DAC」には、プロ向け仕様とコンシューマー向け仕様の2バリエーションが存在している。このうち、フロントパネルがブラックのプロフェッショナル向け「M(マスタリングバージョン)」では、これらの入力端子に加えてSDIF(DSD raw)入力のBNC端子を装備する。
一方、シルバーのフロントパネルを採用するコンシューマー向け「P(プリバージョン)」では、SDIF用端子のかわりにRCAアナログ入力端子を装備している。1系統ながらアナログ入力を用意し、ボリューム・コントロールとの組み合わせでプリアンプとしても活用できるバリエーションが用意されているのは、確かにありがたい。
とはいえ、両バージョンにこれ以外の違いはないため、プロフェッショナル向け、コンシューマー向けと意識せず、システムと価格によってチョイスするのが得策といえる。なお対応フォーマットは、USB(2.0)とFireWireが最高192kHz/24bitのPCMおよびDSD、それ以外は最高192kHz/24bitのPCMのみとなっている。またDSD対応ドライバーは、WindowsがASIO、MacがDoP(DSD over PCM)と、異なるタイプが用意されている。
さて、今回は「M」バージョン、フルネームでいうところの「Stereo192-DSD DAC M」で試聴を行った。まずはPCMハイレゾ音源から聴き始めてみる。音色傾向としては、とてもストレートなイメージ。プロフェッショナル向けメーカーらしいというべきか、カラーレーションが全くといっていい程感じられず、本来の音を素直に、かつ取りこぼしなく丁寧に拾い上げてくれる印象だ。特にエッジが強調されているわけではないのだが、フォーカス感が高く、S/N感もかなり良好なので、細部の表現がしっかりと伝わってくれる。おかげで、ボーカルなどはリアルさ溢れる歌声が堪能できた。
続いて再生したDSD音源も、基本的なキャラクターは同じ。ストレートで丁寧な表現に、DSDならではの抑揚表現のきめ細やかさが加わって、音のリアルさがさらに高まってくれている。特にクラシックなどは、演奏が行われたホールの様子までもが手に取るように感じられるので、情報量の多い良質な音源を次々と再生したくなってくる。聴き応え十分のサウンドだ。
プロフェッショナル機器メーカーらしい、奇をてらわないストレートな音楽表現が、「STEREO192-DSD DAC M」ならではの魅力といえる。PCMとDSDで、音色傾向が大きく変化しないところも美徳といえるだろう。ありのままの演奏を存分に楽しみたい、という人には、ピッタリの1台だ。
【執筆者プロフィール】
野村ケンジ
ホームシアターやヘッドホン、音楽関連、カーAVなどの記事を中心に執筆活動を展開している。100インチスクリーン+TADスピーカーで6畳間極小ホームシアターを実践。さらに現在はステレオと7.1chの同居計画が進行中。好きなクルマはアルファ・ロメオなどのイタフラ系。