【特別企画】田村ゆかり/井口裕香/上坂すみれ/日笠陽子
今期春アニメOP/EDを堪能できるのはコレ!高橋敦のTDKイヤホンスクランブルテスト
日笠陽子「美しき残酷な世界」
話題性で言えば2013年春アニメの中では「惡の華」と並んで「進撃の巨人」だろう。そのエンディング曲の話題性も本編に負けていない。「てへぺろ」の発明でも知られる人気声優、日笠陽子さんのご自身の名義でのソロデビュー曲「美しき残酷な世界」だ。秋山澪(CV:日笠陽子)の歌声は聴き慣れている方も多いだろう。しかし今回は遂に待望の日笠陽子さんご自身の歌だ。しかもいきなり壮大なバラードで聴かせに聴かせまくる。そのまさに「歌」を満喫できるTDKイヤホンとなると…
僕のセレクトはIE800。
IE800の特長はその音調の落ち着きだ。この曲はサビまでは抑えた歌い方で進み、サビで感情を爆発させる。その落差を生かすためにサビまでは荒さのない穏やかな歌として描写してほしいのだが、このIE800はその点が優秀。おかげでサビまでの切ない雰囲気も、サビでの解き放たれたような爆発力も、共に際立っている。声にダイナミック型らしい自然な厚みがあることもそれらに貢献しているポイントだ。
また楽器の音色や全体のバランスも良い。ベースとドラムスの厚みと適度な弾力がサビの爆発に向けてのバネとなっているし、ストリングスも厚みがあってドラマチックな荘厳さを高めている。ピアノの音色もぎらつかせずに柔らかく輝き、ギターソロの圧縮感と伸びのある音色も美しい。どこもかしこも全く文句なしの音だ。
…歌がシリアスなのでレビューもシリアスになってしまったが、このIE800はそんなシリアスさもしっかりと伝えてきて生み出してくれるイヤホンだ。
他のイヤホンでの印象はというと…
TH-ECBA700で聴くと、サウンド全体の重心は上がるがその分だけこの曲の持つ揺らぎというか、サビまでの部分の浮遊感のあるアレンジはより生かされる。ピアノやギターのエフェクトによる空間性がより強く発揮される印象だ。主役の歌のクリアさも十分。
TH-ECMA600で聴くと、バラードにしてはガツンと音が強すぎる印象は否めない。しかしこのイヤホンの音色の硬質さが発揮される部分もあり、特にピアノの右手の単音はクリスタルの輝きが宙に舞うような美しさを見せてくれる。