圧倒的なNC性能
【レビュー】ボーズ初のノイズキャンセリングイヤホン「QuietComfort 20」
ノイズキャンセル性能を集中チェック
本機のノイズキャンセル機能については「○○%のノイズ除去」といった具合に、数値で性能を謳っていないが、30年以上にわたって練り上げられてきたボーズのノイズキャンセリング技術のレベルの高さを実感できる、圧倒的な消音性能だった。
テストを始めた頃には、耳穴に入れて使うインナーイヤータイプであるためか、ノイズキャンセル機能をONにしたときに「シュゥ」と耳の中に電機的な圧迫感をやや強めに感じて違和感もあったが、これは使い続けるうちに慣れ、気にならなくなった。
本機の取材期間中に“特急スーパーひたち”で遠出する機会があったので、高速移動の列車内でノイズキャンセル効果を試してみた。機能をONにした時点で、レールの振動音やモーター音など低周波の音がきれいに消音され、音楽の再生を始めると周囲の音が全く気にならなくなった。
反面、車内アナウンスは想像以上に聞こえなくなってしまうので、慣れない移動先ではアナウンスを聞き逃さないように「Awareモード」を活用する必要がありそうだ。ノイズキャンセリング機能をONにしたままでの居眠りも、余りの静けさに深く眠り込んでしまいそうで怖くなるほどだ。
本機の注目機能「Awareモード」のテスト結果も報告しておこう。マイクコントローラーに設けられたボタンを押して「Awareモード」をONにすると、本体に搭載したマイクで外部の音を拾い、ノイズキャンセリング機能を効かせ、かつ音楽も再生しながら、周囲の必要な音が聴ける。例えば音楽を聴いているときに電車の車内アナウンスを確認したい時や、コンビニで会計する時など、短時間のコミュニケーションが発生したときにイヤホンを外さず音楽を聴き続けることができる。
試しにスターバックスに入り、本機を着けたまま「Awareモード」をONにしてオーダーしてみた。音楽を再生していない状態ではカウンター越しに接客する店員の声を聞き取れたが、音楽を再生しながらでは少し相手の声が聞き取りづらくなった。会話の相手がきちんと発声・発話してくれる場合は聞き取れても、何気ない会話など相手の声が強弱まばらになるときには、手元のコントローラーでボリュームを下げる必要がありそうだ。
なお「Awareモード」はボタンでON/OFFを切り替えない限り、ONにした状態を継続することもできるので、徒歩での移動時などは「Awareモード」をONにしたまま使っても良い。「Awareモード」のステータスは、コントローラーモジュールに搭載された緑色のランプの点灯で見分けることもできる。なお「Awareモード」をONにしても、通常のノイズキャンセリングモードで聴く場合と音質に大きな変化が見られなかったことも付け加えておく。
コントローラーモジュールの電源をOFFにした状態でのスルー出力にも対応している。国際線の飛行機で長時間移動する時など、コントローラーモジュールのバッテリーが切れてしまっても安心だ。ただしスルー出力での音質については痩せた音になってしまうので、やはり基本的にはNC機能をONにした状態で使うのがベスト。なお、バッテリーは約2時間のフル充電で約16時間の連続使用に対応している。
インナーイヤーであることの必然性を究めたノイズキャンセル・イヤホン
いわゆるアクティブ方式のノイズキャンセリング・イヤホンは他のメーカーから既に先行商品も出ているが、ボーズが満を持して発売した「QC 20」シリーズを実際に使ってみると、音づくりや装着感、ハンドリングの全ての面で高い完成度を実感できた。音づくりにおいても最近の音楽のトレンドに合わせ、低域を豊かにする一方、ノイズキャンセリング機能とのバランスをも考え、洗練されたサウンドに仕上げている。ボーズのQuietComfortシリーズにまた一つ強力なラインナップが加わった。