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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第58回】愛用ヘッドホンがバーチャルサラウンド対応に! 新アイテム「HeaDSPeaker」を試す

公開日 2013/08/23 10:37 高橋敦
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BDレコーダーと接続し、HeaDSPeakerの設定を開始

さて、早速設定だ! …といっても、最重要ポイントの「耳型のプリセット」だけしっかり調整すればよい。

テレビと組み合わせる場合は、無理にテレビの上に装着せずとも、テレビの手前においただけでも問題なく動作した

耳型のプリセットの選択は、バーチャルサラウンドの設計において重要な要素である、リスナーの耳の形とのマッチングの選択だ。本機はいくつもの耳型を想定してそれぞれに最適化したサラウンド調整を用意している。その中から自分の耳に近いものを選ぶことで、より良好なサラウンド再生を得られるのだ。

といっても、自分の耳の寸法を測定したりする必要はない。リモコンに5つのプリセットが用意されているので、一通り試してサラウンド感がより良好と感じられたプリセットを選んで使えばよい。大雑把に感覚的に選んでOKだ。なおWindowsアプリを使えばさらに増えた約40のプリセットを利用できる。

なお本製品のマニュアル等においては「耳型(HRTF)」という表記もされているが、HRTFとは日本語では「頭部伝達関数」と呼ばれているもの。頭部から耳にかけての形状や寸法を数式化したデータのことだ。バーチャルサラウンド技術のキーワードのひとつなので、まめ知識として覚えておいてもよいだろう。

その耳型の選択において活躍するのが、こちらもリモコンから呼び出せる「テストトーン」。これは左、正面、右、右後方、左後方の各チャンネルのテスト信号を再生する機能だ。これを流しながら耳型のプリセットボタンを切り替えていけば、どのプリセットを選んだときにいちばんサラウンドっぽく聴こえるかを簡単に把握できる。ちなみ僕の場合はプリセット5番がいちばんサラウンド感が強かった。

改めてリモコン。再重要ポイントは1〜5の耳型のプリセットボタンとその下に用意されているテストトーンボタン

リモコンからの設定としては他に、「ルームサイズ」がある。これはサラウンド空間の広さの表現(主には反射音成分の強調具合)の調整だ。あまり強くすると響きが不自然になるので、ほどよいところに落ち着かせよう。

BDレコーダーと接続してHeaDSPeakerの実力を試す

ということで僕の耳に最適な設定を選んだところで、改めて今度は映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」の冒頭、宇宙空間での派手なアクションシーンでサラウンド再生をチェックした。

これはさらに好感触!

この場面は、空間を横切るように移動する効果音や、コクピット内を全方位から満たす通信音声や電子音など、サラウンドがふんだんに活用されている。そのため、空間の再現性の面でスピーカー再生に及ばない普通のヘッドホンでは、本来のサウンド、その世界観を全く表現しきれない。

…のだが、このユニットを通したバーチャルサラウンド再生では、もちろん本来のサラウンドとは異なるものの、バーチャルなりのサラウンド感は十分だ。ブースターが目の前を横切る場面では、その移動の幅が大きく、スピード感もある。コクピット内の後方からマリの歌声が聴こえてくる場面では、さすがに本当に後ろから聴こえてくることはないが、十分に後方からの音として感じられる。その後方から来るレベルが、耳型プリセットの設定を見直す前よりも格段に向上している。音場全体の広がり、空間性の大きさも明らかに向上して、ヘッドホンでこれだけの広さを表現してくれれば十分納得だ。

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