[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第58回】愛用ヘッドホンがバーチャルサラウンド対応に! 新アイテム「HeaDSPeaker」を試す
そして耳型設定の最適化の効果でもうひとつ大きいのは、台詞の音像のブレがかなり緩和されたことだ。声がよりクリアに聞き取りやすくなり、細かな表情もより伝わってくる。派手な映画でも主役はやっぱり声なので、そこがちゃんとしてくれるのは大きなポイントだ。
ただ逆に言えば、耳型設定を最適化しない状態では声の描写に弱点を抱えているということだ。なのでそれを行えないMacとのUSB接続は、やはり実用的ではない。
なおリモコンが使えることで、バーチャルサラウンドのオン/オフもパパッと切り替えられるようになった。試してみるとその効果の大きさをはっきりと認識できる。オフにすると空間が一気に狭くなって、効果音が広く散りばめられた感じも、音場を色付けする空気感も、一気にしょぼくなる。一度体感してしまうと通常のステレオヘッドホン再生には戻りたくなくなる。
■よいヘッドホンを使うほどにサラウンド感が高まる
また、色々と試してみたところ、組み合わせるヘッドホンによってサラウンドの再現性が少なからず変わることも確認できた。ご想像の通りと思うが、「よいヘッドホンを使うほどにサラウンド感も高まる」のだ。おそらくは、高性能なヘッドホンなほどにバーチャルサラウンド処理の再生精度が高まるためというのが理由だろう。よいヘッドホンをお持ちのヘッドホンマニアの方こそ、この製品の力を存分に堪能できる。
というわけでこのHeaDSPeaker。本来の力を発揮できる環境でしっかり設定して使えばその効果は大きい! バーチャルサラウンドの効果の体感度合いには一般的に個人差があるので実機を試さずに購入するのは冒険だが、この分野の選択肢に入れて損はないだろう。
一般的な一式セットのワイヤレスバーチャルサラウンドヘッドホンと比べると、
長所は、
・愛用ヘッドホンをそのまま使えるので基本音質に不安なし
・耳型プリセットで前述の個人差の部分をある程度は吸収できる
短所は、
・ヘッドホンとヘッドトラッカーが共に有線接続となり、取り回しに工夫が必要
といったところだ。それらを考慮しつつ、映画体験充実アイテムのひとつとして注目してみてほしい。
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。 |
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