内蔵アンプも「S-Master HX」に進化
【レビュー】ハイレゾウォークマン「F880」の音質を検証 − 「PHA-2」デジタル接続も試す
■ハイレゾ対応のデジタルアンプ「S-Master HX」を搭載
F880シリーズの高音質化におけるポイントは3つある。1つめは「ハイレゾ音源」への対応。最大192kHz/24bitのFLAC/AIFF/WAV/ALAC形式のファイルが再生できる。なおこれらのファイル形式以外にもMP3/WMA/ATRAC/ATRAC Advanced Losslessの再生が可能。前機種のF800ではALAC/AIFF形式の再生には対応していなかった。なお、ギャップレス再生はこれまでのWAV/FLAC/ATRACに加えて、AIFF/ALAC/AAC/MP3にも対応範囲を広げている。
2つめは内蔵するソニー独自のモバイル機器専用デジタルアンプ「S-Master MX」が、ハイレゾ対応の「S-Master HX」に生まれ変わったこと。MXから進化した点としては、一つめにハイレゾ音源での再生周波数帯域が広がるぶん、新にノイズを除去する音域も拡大させた。またアンプ出力とヘッドホン間のカップリングコンデンサーを除去することによって、力強くキレのある低音再生を可能にしている。
そして3つめのポイントが電源部分の強化だ。ヘッドホンのドライブと、オーディオ出力のために左右に4つの独立した電源を搭載。ヘッドホン再生時のステレオ感を向上させている。
高域補間技術「DSEE(Digital Sound Enhancement Engine)」も、ハイレゾ対応の「DSEE HX」に強化した。従来のDSEEから実現してきた高域成分のみの補正から、16bit〜24bitのビット拡張を行いながら192kHzまでの周波数アップサンプリングも行う仕様にグレードアップ。CDレベルの音楽コンテンツも、CD以上のクオリティで楽しめる魅力をアピールする。なお「DSEE HX」については今年12月にソフトウェアアップデートでの提供が予定されているため、取材時点では「DSEE HX」の効果は試せなかった。
スマートフォン「Xperia」シリーズでお馴染みの、ソニーおすすめの音設定が楽しめる「ClearAudio+(クリアオーディオプラス)モード」もF880シリーズから新しく搭載された。モードの設定は「W.ミュージック」アプリの「音質設定」から決められるほか、Androidの基本設定の「音」メニューからもON/OFFが選べるため、「W.ミュージック」以外のプレーヤーアプリでも適用することができる。
このほかにもデジタル信号処理によりスピーカーやヘッドホンの音響特性を最適化する「クリアフェーズテクノロジー」や、内蔵スピーカーの音質を向上させる「xLOUD」、CLEAR BASS、CLEAR STEREOなどの高音質化技術を搭載。ほかにも再生時のボリュームを平均化する「ダイナミックノーマライザー」やバーチャルサラウンド技術(VPT)も搭載する。
付属するイヤホンは、基本性能はF800シリーズに付属していたものとほぼ同じで、13.5mm口径のユニットを搭載した「MDR-NWNC33」と同等スペックのものになる。エンクロージャー内側に突起部が設けられ、装着した時のフィット感が高まり、外れにくくなっている点が改良されている。
なおデジタルノイズキャンセリング機能は同梱のイヤホンか、別売のウォークマン専用ノイズキャンセリングヘッドホン「MDR-NWNC200」を使用した時にのみ有効になるのも前機種と同じだ。