最新のデジタル部と最高峰のアナログ部を兼ね備えたトップエンドモデル
デノンの最上位AVアンプ「AVR-4520」を大橋伸太郎が再検証
■デノンのトップエンドAVアンプ「AVR-4520」を再検証する
2013年秋も各社からAVアンプの新製品が登場し、エントリー機から高級機まで新製品への交替が行われた。デノンでも例外ではないのだが、同社のトップエンドモデルである「AVR-4520」は継続してラインナップされることになった。
デノンの場合、「トップエンドモデル」とは「技術的に突き抜けたプレステージモデル」なのである。単なるカタログの上だけの最上位機種ではない。十分な技術的達成があって、初めて世に問うことができるという考え方である。したがって開発に要する時間は長く、いきおい製品のサイクルもそれに見合って長い。ピュアオーディオでは当たり前の話だが、毎年変わるようではトップエンドとは言えない、というわけである。
AVR-4520の発売は2012年10月である。AVR-4311(2010年10月発売)の後継というタイミングであったが、HDオーディオに初めて対応した一体型AVアンプの最高峰モデル「AVC-A1HD」の生産終了に伴う、その空位を埋める事実上のフラグシップとして開発された。このAVR-4520を一言で要約すれば、HDオーディオ対応AVアンプの第二世代フラッグシップ機である。しかし、それだけでない。5年ぶりに登場したデノンのAVアンプの<新たな原点>とも言えるAVR-4520について、今回は改めて検証してみたい。
■“アンプ”だからこそ徹底的に追い込んだアナログ部
今回、AVR-4520の卓越度を改めて確認すべく、ディーアンドエムホールディングスでデノン製品の“音決め”を一手に担う米田晋氏に、改めてインタビューを行う機会を得た。当然、始めはDAC、DSPなどの最新のデジタル技術に話が及ぶと思いきや、米田氏が最初に力説してくれたのは、AVR-4520のアナログ部の9ch完全独立モノコンストラクション構成についてであった。
開発当初から、AVR-4520は全9ch完全同一クオリティを実現することが念頭に置かれていたのだという。9ch分のパワーアンプのレイアウトだけでなく、アース、電源、信号経路の全てが、各chごとに大元からセパレートされて独立したパワーアンプとして動作するのである。
初段にはデュアルタイプの高品位トランジスターを使うなど、アンプ単体で同社のHi-Fiオーディオのプリメインアンプに全く遜色のない性能を確保している。マルチch再生ながらクロストーク、ノイズやノイズを徹底的に排除している点でAVR-4520は突出していると米田氏は胸を張る。
また米田氏は、いたずらにch数を増やすのではなく、2chのクオリティをマルチchに拡大していくという思想が前提にあることを何度も強調していた。この話を聞くと、デノンが今季発売した「AVR-X」シリーズを想起する。そう、最新世代の音質と性能の指標は、AVR-4520が方向付けたのである。
AVR-4520は、増幅部に大電流トランジスターを用いたシングルプッシュプル構成が取られている。少ない素子数で大電力を流すというデノンの一貫した思想に忠実に設計されたのだ。その点は、Hi-Fiオーディオのフラグシップとなるプリメインアンプ「PMA-SX」との深い関連も見出せる。電源トランスなど大型重量パーツのセンター配置とシンメトリー構成、ダイレクトメカニカルグラウンドコンストラクション(振動源をフット近くに置き、メカニカルアースを取る)も同社のAV/Hi-Fiを一貫する理想的設計である。
2013年秋も各社からAVアンプの新製品が登場し、エントリー機から高級機まで新製品への交替が行われた。デノンでも例外ではないのだが、同社のトップエンドモデルである「AVR-4520」は継続してラインナップされることになった。
デノンの場合、「トップエンドモデル」とは「技術的に突き抜けたプレステージモデル」なのである。単なるカタログの上だけの最上位機種ではない。十分な技術的達成があって、初めて世に問うことができるという考え方である。したがって開発に要する時間は長く、いきおい製品のサイクルもそれに見合って長い。ピュアオーディオでは当たり前の話だが、毎年変わるようではトップエンドとは言えない、というわけである。
AVR-4520の発売は2012年10月である。AVR-4311(2010年10月発売)の後継というタイミングであったが、HDオーディオに初めて対応した一体型AVアンプの最高峰モデル「AVC-A1HD」の生産終了に伴う、その空位を埋める事実上のフラグシップとして開発された。このAVR-4520を一言で要約すれば、HDオーディオ対応AVアンプの第二世代フラッグシップ機である。しかし、それだけでない。5年ぶりに登場したデノンのAVアンプの<新たな原点>とも言えるAVR-4520について、今回は改めて検証してみたい。
■“アンプ”だからこそ徹底的に追い込んだアナログ部
今回、AVR-4520の卓越度を改めて確認すべく、ディーアンドエムホールディングスでデノン製品の“音決め”を一手に担う米田晋氏に、改めてインタビューを行う機会を得た。当然、始めはDAC、DSPなどの最新のデジタル技術に話が及ぶと思いきや、米田氏が最初に力説してくれたのは、AVR-4520のアナログ部の9ch完全独立モノコンストラクション構成についてであった。
開発当初から、AVR-4520は全9ch完全同一クオリティを実現することが念頭に置かれていたのだという。9ch分のパワーアンプのレイアウトだけでなく、アース、電源、信号経路の全てが、各chごとに大元からセパレートされて独立したパワーアンプとして動作するのである。
初段にはデュアルタイプの高品位トランジスターを使うなど、アンプ単体で同社のHi-Fiオーディオのプリメインアンプに全く遜色のない性能を確保している。マルチch再生ながらクロストーク、ノイズやノイズを徹底的に排除している点でAVR-4520は突出していると米田氏は胸を張る。
また米田氏は、いたずらにch数を増やすのではなく、2chのクオリティをマルチchに拡大していくという思想が前提にあることを何度も強調していた。この話を聞くと、デノンが今季発売した「AVR-X」シリーズを想起する。そう、最新世代の音質と性能の指標は、AVR-4520が方向付けたのである。
AVR-4520は、増幅部に大電流トランジスターを用いたシングルプッシュプル構成が取られている。少ない素子数で大電力を流すというデノンの一貫した思想に忠実に設計されたのだ。その点は、Hi-Fiオーディオのフラグシップとなるプリメインアンプ「PMA-SX」との深い関連も見出せる。電源トランスなど大型重量パーツのセンター配置とシンメトリー構成、ダイレクトメカニカルグラウンドコンストラクション(振動源をフット近くに置き、メカニカルアースを取る)も同社のAV/Hi-Fiを一貫する理想的設計である。