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最新のデジタル部と最高峰のアナログ部を兼ね備えたトップエンドモデル

デノンの最上位AVアンプ「AVR-4520」を大橋伸太郎が再検証

公開日 2013/12/27 11:46 大橋伸太郎
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■音の実在感としなやかさを高次元で両立する希有なAVアンプ

アナログとデジタル躍進が両輪となり、音質面で飛躍的な進化を遂げたデノンのAVR-4520。昨年来すでに何度も試聴の機会を得ているが、他社の新製品が出揃った今だからこそ再びそのサウンドを確認する意義があると考えた。今回はデノンの試聴室にて音質を確認した。

今回のAVR-4520の視聴については、Denon Link HDに対応した同社のユニバーサルプレーヤー「DBT-3313UD」と組み合わせて行った

新しい酒は新しい皮袋へ、ではないが、ハイレゾ音声を採用した最新のBDソフトを聴いてみよう。まず、ドルビーTrueHDアドバンスド96/24アップサンプリングを採用したBD『カルテット!人生のオペラハウス』。高級老人ホームに隠居した老音楽家達が紆余曲折を経て再びステージに立つまでを描くヒューマンドラマだが、音楽の中心は声楽より弦楽である。


マルチchでの視聴はもちろん、2chのサウンドも入念にチェックした
音が出てすぐにAVR-4520のビット拡張の効果がてきめんに現れている。弦の質感がきめ細かく、突っ張らずしなやかだ。輪郭がぼやけず、鮮明でいて強調感がない。その上印象的だったのが、音場表現の美しさ。背景音楽が虚空に虹が架かるように立体的に現れるのだ。DSP3基を役割分担した「D.D.S.C.-HD32」の表現力の進境の著しさがわかる。一方で、デノンのAVアンプの魅力である力感とエネルギッシュな迫力もしっかりと同居していることを付け加えておこう。


96kHz/24bitのマルチch収録BD『SAKANAQUARIUM 2013 sakanaction -LIVE at MAKUHARI MESSE 2013.5.19-』
サカナクションのライブBDはドルビーTrueHDの96kHz/24bit収録(アップサンプリングではない)だが、AVR-4520は会場に渦巻く音のエネルギーをいささかも損なわずその場に立ち会っているかのような生々しい鮮度で蘇らせる。非常に凝った音源のL/R振り分けをしているが、音源の遠近感と移動表現の距離、スピード、軌跡のぶれない鮮鋭度は、従来のHDオーディオの限界を確実に突破している。マニアだけでなく、『音楽はライブとモバイルだけでいい!』と信じているすべての若い音楽ファンに体験してほしい臨場感だ。

音の実在感としなやかさが、これほどまでに両立できているのは、アナログとデジタルの両面から徹底的に追い込んでいった結果であろう。優作揃いの今季のAVアンプの中で、依然として先頭集団を一つ抜け出している特別な存在がデノンAVR-4520であると改めて実感した。

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