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野村ケンジが集中レポート

【レビュー】ECLIPSE「TD-M1」を聴く − NOS-DAC搭載のハイレゾ対応ワイヤレススピーカー

公開日 2014/03/26 11:23 野村ケンジ
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また、TD-M1はハイレゾ対応のUSB入力とAirPlay再生に対応したWi-Fiを備えており、DACも内蔵している。こちらの選定とシステム構築にも、かなりこだわった様子が伺える。DACチップは192kHz/24bitというスペックはもとより、音質面、特に過渡特性が良好な(スパッと鋭く立ち上がってシュッと素早く収束してくれる)ものを数多くの候補から吟味。最終的に、ウォルフソン製「WM8742」を採用した。

同時に、「NOS-DAC」(Non Over Sampling DAC)システムも採用した。通常ではD/A変換時の微弱なノイズを除くためにオーバーサンプリングサンプリングフィルターを用いるのだが、一方でこれが波形を乱す原因となる。TD-M1ではこのオーバーサンプリングをパスして、時間波形の正確さを徹底。ECLIPSEスピーカーならではの応答性の良さをデジタル領域からも確保した。

TD-M1のDACおよびクラスDアンプ部

筐体中央に位置するのシルバーの部分がAirPlay対応のWi-Fiモジュールだ

Wi-Fiモジュールも内蔵し、AirPlayにも対応。様々なiOS端末からロスレス圧縮伝送によるワイヤレス音楽再生を行えることに加え、ルーターを介さずに直接、iOS端末を接続してのワイヤレス再生も可能。iPhoneなどiOSデバイス向けの専用コントロールアプリも用意している。これだけの機能性を持ちながら、回路基板を右側スピーカーのスタンド内に収納しており、ECLIPSEスピーカーならではのスマートなデザインはしっかり維持されているのはとても好印象だ。

専用コントロールアプリ「TD Remote」

使い勝手の面でも、様々な工夫が盛り込まれている。たとえば角度調整は、工具なしで簡単にできるようになっている。USB端子(PC用のBタイプとiOSデジタル接続用のAタイプの2つを用意)やアナログ入力端子、電源端子など、コネクター類は右側スピーカーの背面に集約することで、スマートな配線や設置が行えるようになっている。また、ソースセレクトや音量調整などは、スタンド部のタッチパネルで行える。現在の状況もLEDインジケーターによって把握でき、操作性はなかなかに良好だった。

角度調整は3段階で可能。左が最も仰角を上げたところ、右が仰角を最も下げたところ

各種入力端子は右側スピーカーの背面に集約されている

■正確無比なフォーカス感と音色、そして定位感に圧倒される

さて、肝心のサウンドはいかがなものだろう。まずはMacBookAirとUSB接続して、実力のほどをチェックしてみることに。

13インチのMacBook Airと組み合わせたところ。デスクトップに最適なサイズ感を実現している

ECLIPSEスピーカーらしさが光る、整然としていて、音のひとつひとつが丁寧に再現されているピュアなサウンドだ。ダイナミックレンジが十分に確保されていることもあり、細やかで、かつダイナミックな抑揚表現が感じられる。音のキレの良さも、ECLIPSEスピーカーの面目躍如と行ったところ。立ち上がりの良さ、収束時の付帯音のなさ共に優等生で、フォーカス感の高い音像が浮かび上がってくる。

さらに、まるでスピーカーの間に演奏者が立っているかのごとく、揺るぎない定位感をもつライブスペースが再現されている。これはECLIPSEスピーカー共通のアドバンテージでもあるのだが、多機能、かつ手軽なアクティブスピーカーであってもこういった部分がしっかり継承されているのは、喜ばしいかぎりだ。


正確な音の再現にDAC、アンプ、スピーカーの各パートからアプローチしたTD-M1は、新たなリファレンスサウンドを実現したと言える
音色も正確無比だ。ピアノの音は高域の倍音が整い、伸びやかな響きを持っている。アコースティックギターの演奏もキレの良さが際立っているため、とてもリズミカルに感じられる。一方、女性ボーカルでは、低域の量感がやや増した感じで暖かみもある、優しい歌声が楽しめる。既存のパッシブタイプECLIPSEスピーカーはもうちょっとソリッドな中低域を持つイメージがあり、こういったサウンドプロポーションは「TD-M1」ならではのキャラクターかもしれない。いや、専用のパワーアンプやNOS-DACが組み合わされていることから考えるに、こういった優しいボーカルになるような音色傾向こそが“本来の姿”なのかもしれない。いやはや勉強になる。

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