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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第82回】総額70万円!超ハイエンドなポータブルオーディオシステムを組んで聴いてみた

公開日 2014/04/11 10:00 高橋敦
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他にはWi-Fiへの対応もポイントだ。「そんなのハイレゾ対応ハイクオリティ志向プレーヤーにはいらねーよ!っていうかむしろ邪魔!」という意見もあるかとは思うのだが、利便性の面では意義が大きい。これによって実現されているのは(される予定なのは)主には以下の3点。

・PCに置いてある音楽ファイルのワイヤレス再生
・PCを経由せず単体でのシステムアップデート
・PCを経由せず単体でのハイレゾ配信サイトの利用

どれも決定的に必要な機能ではないにせよ便利だし、シリーズの特徴にはなり得る。コストとの兼ね合い次第で、他のモデルへの波及はない話ではないだろう。

さてでは音を聴いてみよう。本機は第一には「ポータブル」プレーヤーであるのでイヤホンとの組み合わせが本来とは思うが、今回は今回の記事内での一貫性を重視してこちらも(屋外利用には適さない開放型ヘッドホンの)K812と組み合わせた。

全体的な印象としては、圧倒的なお値段にちゃんと比例して、音も素晴らしい。比例するとは言っても「AK120比で値段が倍だから音質も倍よい」みたいな無茶な話ではないが、それでも明らかな向上だ。特に、透明感やキレ、描写の純度や精密さといった要素は、ポータブルプレーヤー単体の分野で突出しているのはもちろん、その分野に限定せずとも特筆に値するレベル。

その点は中島愛さん「愛の重力」では特に、ボーカルとギターで強く実感できる。ボーカルの様々な表現、表情を余さず素直に再現。抑揚(ダイナミクス)も滑らかに豊かに出してくれるし、声がまとうさわさわとした息づかいも感じさせてくれる。後者については描写の解像度の高さのおかげだろう。サビで声にファルセット成分を含ませてくる場面では、そのシャープな美しさが際立つ。

同じく高域の再現性が発揮されてのことと思うが、ギターはエッジ感が際立つ。カッティングは力みのない音色でさらりと心地よく抜けてくれるし、深く歪ませたソロの音色はまさにエッジィ。倍音成分を鋭く描き出し、切れ込むようなフレージングをさらに生かす。全体を見ても、低音をもたつかせるようなこともなく、キレの良い印象。クリアで抜けも自然。

なお、試聴機にはバランス駆動MMCXケーブルの試作品も同梱されていたので、せっかくなのでそれも利用(本機はバランス駆動出力も装備!)。こちらはイヤホンのShure SE846を組み合わせてみた。こちらの組み合わせでは重心が少し下がって、また感触は全体的にソフト傾向。すっとした見晴らしではなく、微細な成分に満たされた濃厚さも印象的だ。もちろんこちらはこちらでハイレベル。

次ページ最後に、超ハイエンド3モデルのフルセット(約70万円)を聴く

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