<山本敦のAV進化論>第9回
業界最小「40型の4Kテレビ」を出す理由とは? REGZA 「40J9X」レビュー&インタビュー
「アニメコンテンツの場合は特に黒い描画線のクッキリ感を出すことを重視しました。エッジのスルーレートだけ上げて、シュートは付けずにそのままクッキリさせています。ベタ塗りの部分にはモスキートノイズが多少なりともあるので、これを増長させないように平坦部検出を行って、超解像処理をあまりかけ過ぎないようにしています。特にグラデーション部分にフル12bit処理の好影響が出ていると思います」(住吉氏)
斜めの輪郭線は「自己合同性型超解像」の処理をかけているのでギザギザ感が目立たない。「アニメのコンテンツは元が2Kなので、『4Kのパネルで見たところで良くなるのか?』という声もありますが、レグザの自己合同性型超解像では、2倍にアップスケールする際に、斜め線の情報を他の近似する部分からコピー&ペーストすることで、斜め線のエッジを急峻にしながらジャギーが発生しないように画づくりをしています」と住吉氏は説明する。もちろん同じ処理が「ハイビットBD」以外のモードでも等しく働くので、そのメリットを享受できるコンテンツは、MGVC収録以外のアニメBDや、テレビ放送のアニメ番組まで意外に幅広い。40インチのパネルで密度感が高まると、余計に線のシームレスなつながり感が高まって、ノイズ感が消え失せる。
最後に4Kゲームを少しだけプレイしてみた。CGの4Kグラフィックスは、まさに「40J9X」で楽しむのに最適なコンテンツだ。映像の微細なオブジェクトまで丁寧に再現される。最近になって、PC向けの4Kモニターも数多く商品化されているが、4Kレグザではただ4Kで映像を映すだけでなく、緻密で丁寧な画作りが行われているので、映し出される映像のクオリティにも違いが出そうだ。また、4K 60p入力でも約0.6フレーム(約10ms)という低遅延速度を実現。クリエイターの制作意図をきちんと再現しつつ4Kゲームを快適に楽しめるはずだ。
■マスターモニターモードも低遅延
40型の4Kレグザは、元々プロユーザーの要望に応えるかたちで開発された経緯もある。住吉氏は「去年のCEATEC JAPANで50型と40型の試作機を展示した際には、ドライブしているエンジンが違っていたこともあって、個人的には4Kのメリットをそれほど感じていませんでした。ところが会場にいらっしゃった方々からの反響が非常に大きく、写真やPC、ゲームのモニターなどパーソナルユースのモニター、マスモニ的に使いたいという要望を非常に多くいただいたことから、40型の4Kモデルも“脈あり”と判断しました」と振り返る。
プロユースの声を反映した機能に、映像メニューに新設された「モニターD93」「モニターD65」モードがある。各モードは映像のプロがスタジオで使うマスターモニターの映像設定を、家庭などで手軽に再現できるように設けられたプリセットだ。D93は色温度が9300Kに、同じくD65は6500Kに設定されている。