<山本敦のAV進化論>第9回
業界最小「40型の4Kテレビ」を出す理由とは? REGZA 「40J9X」レビュー&インタビュー
さらに住吉氏はこう語る。「ゲームモードと同じ約0.6フレームの低遅延表示を実現していますので、PCのモニターとして使う場合にもマウスで操作するカーソルの動きにほぼリアルタイムで追従します。例えばPhotoshopでのレタッチ作業やCADなどにも非常に使いやすい4Kモニターになるはずです。写真編集の場合は『D50/色温度5000K』で使うことも多くありますが、その場合はモニターD65の設定から色温度調整を“0”に変更していただければ5000Kの設定にアレンジができます」
■一番大きな画面で画づくりを決め、40型に追い込んでいった
40型に画面サイズが小型化することで、従来の大型サイズのモデルと比べて超解像処理や映像の細かなチューニングはどんな所に変更が加えられてきたのだろうか。
「60型クラスの大画面モデルは、大体の場合は少し離れた距離から視聴することを意識しながら画質を追い込んでいます。一方で40型の場合は至近距離で視聴するユースケースを意識して画をつくっています。視聴距離は1〜1.5mぐらいがベストです。視聴距離が遠くなって、画面が大きくなるほど超解像処理のレベルは強めにかけることになります。反対に40J9Xでは効果のレベルを少し下げて、元のソースを在りのままに出すようにチューニングしています」(永井氏)
パネルのネイティブコントラストが元々高いので、無理な補正をかけなくても輪郭や奥行き感が際立ってくる。実際、東芝の開発スタッフの中にも当初は「40型の4Kテレビが果たして必要なのか」と懐疑する向きもあったという。ところが実際に40J9Xの試作機に表示された、リアルで説得力に富む4K映像を目の当たりにした瞬間、彼らの迷いは吹き飛んだ。
「本機に初めて画を写したときに、近くから見ても画素が見えないことに驚きました。パネル自体が高い性能を持ち合わせているので、画づくりのテクニックによってこれをさらに引き立たせることができると考え、開発陣の気持ちが高ぶって行きました。今回は“近接視聴”というキーワードもあったので、これに沿ったかたちで40型ならではの“独り占めできる”4K視聴の魅力を味わえるテレビにしたいという思いが、40J9Xには反映されています」(永井氏)