【特別企画】1万字インタビュー+徹底試聴レポート
B&W新600シリーズはCMを超えたのか? D&M澤田氏インタビュー&試聴レポート
■エントリー機にも最新技術を惜しみなく投入するのがB&Wのポリシー
インタビューの間、澤田氏は「最先端の技術とは思いつきで生まれるものではありません」と度々繰り返した。「最新技術には常にバックグラウンドがあり、積み重ねの結果なのです。新600シリーズは長年にわたる積み上げで培われた最先端の技術を、文字通り“惜しみなく”投入しています」。
エンジニアとしての立場から600シリーズを見て、澤田氏がユニークだと思う点があるという。旧600シリーズの時点で、搭載する各ドライブユニットのグレードは、上級機のCMシリーズと変わらなかった。それでどこが違うのかというと、キャビネットやネットワークである。
澤田氏はこの点を自動車に例えてくれた。「上位機のユニットを下位機でも採用するということは、高級車で使われている高性能エンジンを、軽自動車のボディに積み込んでいるのと同じです。悪い言い方をすれば、エンジンとボディがややアンバランスということですね。ボディの割にエンジンが過剰なのですから。それはB&Wの開発メンバーも分かっていることですが、新しい製品を生み出す上で必要なチャレンジとしてあえて行うのです」。
「そして、アンバランスならば何らかの改善が必要です。高性能エンジンが1万回転できても、ボディが耐えられないということならば、通常の発想ではボディや足回りに合わせてエンジンをデチューンします。スピーカーならば、ユニットの特性をマイルドにしてあげれば良いのです」(澤田氏)。
「今回の600シリーズもやはりデチューンしてくるのかと思ったら、アップチューンすることで合わせ込んできたのです。ボディが1万回転に耐えられないならばと、エンジンを1万5千回転に上げてしまったのです。そうするとバイブレーションモードが変わって、やわなボディでもバランスがとれてしまう、そんな感じです。普通の感覚ではないですよね。非常に挑戦的です。これが私の一番驚いた点であり、新600シリーズではこの試みが実際に成功しているのです」(澤田氏)。
なお、今回の新600シリーズを手がけたエンジニアチームは、旧シリーズを手がけたチームと基本的に一緒とのこと。音決めについては、旧シリーズを手がけたジョン・ディブ氏が完全にリタイアしたのに伴い、今回はスティーブ・ピアス氏が行った。同氏はまだ46歳だが、チーフになって最初に手がけたスピーカーが、7年前に登場した「CM1」であった。
インタビューの最後に、改めて「新600シリーズはCMシリーズを超えたのではないのか」という質問を投げてみた。それを受けて澤田氏は以下の答えてくれた。「先ほどの自動車の例えの通り、新600シリーズとCMシリーズでは、ユニットを支えるボディなどの点では歴然としたグレード差があります。オーディオマニアック的な物量について言えば、CMシリーズの方が600シリーズより間違いなく上です。しかし、現代の音楽ソースへの対応性という意味では、やはり新しいもの方に分があると思いますね」。
インタビューの間、澤田氏は「最先端の技術とは思いつきで生まれるものではありません」と度々繰り返した。「最新技術には常にバックグラウンドがあり、積み重ねの結果なのです。新600シリーズは長年にわたる積み上げで培われた最先端の技術を、文字通り“惜しみなく”投入しています」。
エンジニアとしての立場から600シリーズを見て、澤田氏がユニークだと思う点があるという。旧600シリーズの時点で、搭載する各ドライブユニットのグレードは、上級機のCMシリーズと変わらなかった。それでどこが違うのかというと、キャビネットやネットワークである。
澤田氏はこの点を自動車に例えてくれた。「上位機のユニットを下位機でも採用するということは、高級車で使われている高性能エンジンを、軽自動車のボディに積み込んでいるのと同じです。悪い言い方をすれば、エンジンとボディがややアンバランスということですね。ボディの割にエンジンが過剰なのですから。それはB&Wの開発メンバーも分かっていることですが、新しい製品を生み出す上で必要なチャレンジとしてあえて行うのです」。
「そして、アンバランスならば何らかの改善が必要です。高性能エンジンが1万回転できても、ボディが耐えられないということならば、通常の発想ではボディや足回りに合わせてエンジンをデチューンします。スピーカーならば、ユニットの特性をマイルドにしてあげれば良いのです」(澤田氏)。
「今回の600シリーズもやはりデチューンしてくるのかと思ったら、アップチューンすることで合わせ込んできたのです。ボディが1万回転に耐えられないならばと、エンジンを1万5千回転に上げてしまったのです。そうするとバイブレーションモードが変わって、やわなボディでもバランスがとれてしまう、そんな感じです。普通の感覚ではないですよね。非常に挑戦的です。これが私の一番驚いた点であり、新600シリーズではこの試みが実際に成功しているのです」(澤田氏)。
なお、今回の新600シリーズを手がけたエンジニアチームは、旧シリーズを手がけたチームと基本的に一緒とのこと。音決めについては、旧シリーズを手がけたジョン・ディブ氏が完全にリタイアしたのに伴い、今回はスティーブ・ピアス氏が行った。同氏はまだ46歳だが、チーフになって最初に手がけたスピーカーが、7年前に登場した「CM1」であった。
インタビューの最後に、改めて「新600シリーズはCMシリーズを超えたのではないのか」という質問を投げてみた。それを受けて澤田氏は以下の答えてくれた。「先ほどの自動車の例えの通り、新600シリーズとCMシリーズでは、ユニットを支えるボディなどの点では歴然としたグレード差があります。オーディオマニアック的な物量について言えば、CMシリーズの方が600シリーズより間違いなく上です。しかし、現代の音楽ソースへの対応性という意味では、やはり新しいもの方に分があると思いますね」。