【特別企画】4K映像や様々なBDソフト視聴で実力を検証
東芝「4Kレグザ Z9X」画質チェック − 大橋伸太郎が“プレミアム4K”の実力に迫る
■4Kネイティブ映像は「映像の素直なバランスが印象的」
視聴は、東京秋葉原の同社事務所で行った。プレゼンテーションルームには全5サイズが集結していたが、58型の「58Z9X」中心に視聴した。
最初に見た映像は同社が新たに4Kカメラでシューティングしたネイティブ4K60pの京都仁和寺等の風景映像である。最初にあざやかモード、次に映画プロへ映像モードを切替えて見たが最も印象的だったのが、映像の素直なバランスだった。
映像モードごとにガンマ設定は変わるわけだが、58Z9Xはどのモードでどのような映像が入力されても常に階調が緻密に整っていて一体感がある。テレビの画質の基本は精細度、鮮鋭感、色彩バランス、コントラスト(階調)だが、58Z9Xの場合、全要素で余裕があり、作為や誇張が感じられず常に自然なのだ。
Z9Xは最大輝度700nitという非常に明るいパネルを搭載した。700nitという数値だけを取り出せばZ8と同じなのだが、4K解像度で画素の開口率が下がっている分今回より強力な光源を搭載してこの数値を達成したことが注目に値する。
また、ピークの最大値を見ればセルレグザ55X1で1,250カンデラ(※単位面積当たりの輝度がnit。光度がカンデラ=ルーメン)という高い数値を達成している。
55X1のこのスペックは、直下型ローカルディミングの特長を活かして、画面上の暗部の余剰電流をハイライトの輝度アップに回す手法で達成した数値である。つまり他社が昨季から採用しているオーバードライブの先駆と言える。
一方、Z9Xでは、撮影時に圧縮されたハイライト部の伸びを復元する「ハイダイナミックレンジ復元」をZ8から引き続いて採用したが、オーバードライブを採用しなかった。
それについて、東芝技術陣はハイライトでのピークを伸ばすことで白の明度が伸びて階調バランスが崩れることを理由に挙げている。事実、4Kネイティブの明るい映像を見た場合、ハイライト(高輝度部分)でZ9Xは飽和や階調の間延びがなく緻密さを失わない。