各入力、そしてラインナップとの音質差を比較
マランツ「NA8005」を山之内正が全方位レビュー
■ネットワーク、USB-DAC、USBメモリーの各再生の音質を比較
本機の中心をなすのはNASなど外部ストレージの音源のネットワーク再生であり、そこでの音質改善の大きさが焦点になる。実際に従来機(NA7004)と聴き比べてみると、基本的な情報量のアップに加え、質感と空気感を引き出す能力が明らかに向上していることに気付く。価格帯で見ても1クラス上なので当然と思うかもしれないが、進化の大きさはその範囲を大きく越えていると言わざるを得ない。
たとえばオルガン伴奏の合唱を聴くと、礼拝堂を満たす空気が一気に動く感触や、10秒に及ぶ時間をかけてゆっくりと余韻が減衰していく様子など、残響が長い空間でなければ体験できない空間の広がりを確実に体感することができる。以前はそこまで超低域の成分が深々と伸びているようには感じられなかったが、音源のなかにはしっかり刻み込まれていたのである。
低域のくもりのなさは、ピアノ曲の低音部やボーカルを支えるベースの音色からも聴きとることができる。ピアノは旋律の2オクターブまたはそれ以上低い音域で動く左手の音形が正確な輪郭で浮かび上がり、ジェーン・モンハイトのアルバムではベースの基音が本来のピッチで鳴り、弦が大きくふるえている感覚を味わうことができた。
DSD音源の最大の聴きどころは奥行き方向と高さ方向の遠近感である。今回はショスタコーヴィチの交響曲(2.8MHz)とプエンテ・セレステの『NAMA』(5.6MHz)を聴いたが、前者ではステージ左右と前後に立体的な音場が展開し、楽器同士の位置関係や距離感が手に取るように把握できる。後者では楽器の間に浮遊する余韻がサウンドに合わせて小刻みに動く様子がリアルで、発音のスムーズさとアップテンポの推進力とともに演奏に生気を与えている。
次に、リアパネルのUSB-B入力にMacBook Airをつなぎ、USB-DACのクオリティを確認した。後で触れるように以前はUSB入力時の音質でNA-11S1が一段飛び抜けた性能を実現していたが、本機はどうだろうか。
結論から先に紹介すると、総合的には僅差でNA-11S1が優位に立つものの、音のテクスチャーの豊かさや一音一音の粒立ちの良さ、さらに弦楽器やパーカッションの音が立ち上がるときの鮮鋭感の高さなど、音楽的に重要な情報の再現性において本機はNA-11S1に肉薄するポテンシャルを持っている。
本機の中心をなすのはNASなど外部ストレージの音源のネットワーク再生であり、そこでの音質改善の大きさが焦点になる。実際に従来機(NA7004)と聴き比べてみると、基本的な情報量のアップに加え、質感と空気感を引き出す能力が明らかに向上していることに気付く。価格帯で見ても1クラス上なので当然と思うかもしれないが、進化の大きさはその範囲を大きく越えていると言わざるを得ない。
たとえばオルガン伴奏の合唱を聴くと、礼拝堂を満たす空気が一気に動く感触や、10秒に及ぶ時間をかけてゆっくりと余韻が減衰していく様子など、残響が長い空間でなければ体験できない空間の広がりを確実に体感することができる。以前はそこまで超低域の成分が深々と伸びているようには感じられなかったが、音源のなかにはしっかり刻み込まれていたのである。
低域のくもりのなさは、ピアノ曲の低音部やボーカルを支えるベースの音色からも聴きとることができる。ピアノは旋律の2オクターブまたはそれ以上低い音域で動く左手の音形が正確な輪郭で浮かび上がり、ジェーン・モンハイトのアルバムではベースの基音が本来のピッチで鳴り、弦が大きくふるえている感覚を味わうことができた。
DSD音源の最大の聴きどころは奥行き方向と高さ方向の遠近感である。今回はショスタコーヴィチの交響曲(2.8MHz)とプエンテ・セレステの『NAMA』(5.6MHz)を聴いたが、前者ではステージ左右と前後に立体的な音場が展開し、楽器同士の位置関係や距離感が手に取るように把握できる。後者では楽器の間に浮遊する余韻がサウンドに合わせて小刻みに動く様子がリアルで、発音のスムーズさとアップテンポの推進力とともに演奏に生気を与えている。
次に、リアパネルのUSB-B入力にMacBook Airをつなぎ、USB-DACのクオリティを確認した。後で触れるように以前はUSB入力時の音質でNA-11S1が一段飛び抜けた性能を実現していたが、本機はどうだろうか。
結論から先に紹介すると、総合的には僅差でNA-11S1が優位に立つものの、音のテクスチャーの豊かさや一音一音の粒立ちの良さ、さらに弦楽器やパーカッションの音が立ち上がるときの鮮鋭感の高さなど、音楽的に重要な情報の再現性において本機はNA-11S1に肉薄するポテンシャルを持っている。