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各入力、そしてラインナップとの音質差を比較

マランツ「NA8005」を山之内正が全方位レビュー

公開日 2014/07/04 11:00 山之内 正
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■従来モデル「NA7004」、上位機「NA-11S1」とサウンドを比較する

発売からすでに4年を経過したNA7004の再生音はバランスの良さと誇張のない素直な音調に特徴があり、それはネットワーク再生とUSBどちらにも当てはまる。NA8005に切り替えて同じ音源を再生すると、音の粒立ち感が向上して一音一音の輪郭がはっきりと浮かび上がり、生々しさという意味では2段階ぐらいアップしている印象を受けた。細部を解像する力も確実に向上しており、旋律の背後でリズムを刻む楽器やハーモニーを構成する音の構成などをたやすく聴き取ることができる。音場の透明感や見通しの良さはハイレゾ音源のメリットの一つだが、本機はそれを引き出す能力が確実に向上している。

「NA8005」(上)とNA7004(下)

デジタル・アイソレーション・システムをはじめ、NA-11S1からNA8005に受け継がれた部分はけっして少なくない。本機の基本性能と音調についてもNA−11S1と共通する部分が多く、一音一音の切れの良さや時間軸方向の分解能の高さなどはその代表的な例と言える。一方、大型システムで聴き比べてみると、オーケストラが全奏で弾き切った部分の地に足の着いた安定感や瞬発力の強さ、打楽器のインパクトの大きさなどにNA8005を上回る部分があり、筐体の強度や重心の低さを含む物量の違いが現れている。

上位モデル「NA-11S1」

DSD信号のネットワーク再生以外に本機がNA-11S1に対してアドバンテージを持つ部分としては、PCM音源のネットワーク再生時、音色の描き分けの精度と幅が若干向上していることが挙げられる。たとえば、弦楽器の音調と余韻の温度感など、本機のネットワーク再生の方が柔らかさと温かみをたたえているのだ。わずかな違いではあるが、特にクラシックなどアコースティック楽器中心の曲では本質的な差と感じる人が多いのではないだろうか。

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