HOME > レビュー > 注目の新鋭ケーブルブランド「AVINITY」のドイツ本社で確認した驚くべき製品開発力

【特別企画】岩井喬が本社&製造現場を取材

注目の新鋭ケーブルブランド「AVINITY」のドイツ本社で確認した驚くべき製品開発力

公開日 2014/08/01 11:00 岩井喬
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
■コネクター規格を持つ組織との良好な関係を構築している強み

このHamaの持つ強みとして挙げられるのが、HDMIやUSBのコンソーシアム、アップル社など、コネクター規格を持つ組織とのやり取りを柔軟に行える体制を既に構築している点だ。これにより、ライセンスの必要な「Made for iPhone/iPad/iPod」やHDMI認証もクリアした高いクオリティの製品を供給できるのだ。

伝送方式やコネクターの規格を定める各企業・組織と密接な繋がりを持つのも、歴史ある巨大企業ならではの強みであろう

さらにカメラストラップやバックなどのアクセサリー分野で培った耐久性と取り回しの良さの両立、プラグ部のツイストさせた独創的な意匠に見られるプロダクトとしての存在感、見栄えの良さへの追求といった要素を高い次元で融合させている。こうしたバランス感覚に優れた製品開発力は、立ち上がったばかりの若いブランドではノウハウが足りず苦労するポイントではないだろうか。

■導体にはあえて4N相当のハイパフォーマンスOFCを採用

AVINITYのケーブルはハイパフォーマンスOFCをメイン導体としているが、純度は4N(99.99%)程度のようだ。6N-OFCなど酸素含有量の少ない導体には、“酸化しやすい”という欠点もある。端末部が徐々に酸化してゆき、本来のサウンド純度が損なわれやすいのだ。長期間の安定度、癖のないサウンドという点からも、ハイパフォーマンスOFCは変質の少ない扱いやすい特性を持つといえる。安易に高額な素材を選ぶのではなく、特性を熟知しているものを使うことで長寿命な製品づくりに繋がるということを、長年の経験で知り得ているのであろう。

ショールームでは、日本では現時点で未発売の様々なAVINITYケーブルを見ることができた。写真は光デジタルケーブル

プラグのデザインひとつをとっても、等身大の取り組みを重ねることで普遍性の高い製品を生み出すプロセスを感じる

好きな音楽や映画を存分に楽しめる、長年共に歩んでいけるパートナー=ツールとしてのプロダクトを目指したAVINITYのケーブル開発は、正統かつ等身大の取り組みを重ねることで、普遍性の高い製品を生み出すプロセスに繋がっている。ピュアであり、ストレート。その精神はしっかりとAVINITYの製品群に込められているのだと、開発陣とのディスカッションによって、感じ取ることができた。

■最新のスピーカーケーブル“MAGIC SILVER PRO”も確認できた

Robert氏は最後に「新製品ができたのでぜひ見ていってほしい」といくつかのアイテムを我々に紹介してくれ。その一つが国内導入も決まったプレミアムクラスのスピーカーケーブル、“MAGIC SILVER PRO”「AY-SP-MSP6.0」/「AY-SP-MSP 4.0」である。見た目はシンプルな透明シースによる平行線スタイルだが、透けて見える中身の導体は規則性のある複雑な構造となっている。導体構造は、極細の径0.10mmスケア・高純度ハイパフォーマンスOFCを束ねたものと同量の銀コート・高純度ハイパフォーマンスOFCを束ねたものをツイストし撚り合わせたもので、上位のAY-SP-MSP6.0はケーブル径が6.0mm、AY-SP-MSP4.0のケーブル径は4.0mmとなる。

AVINITY最新のスピーカーケーブル「MAGIC SILVER PRO」

これまで国内で導入していた上位モデル“MAGIC TWISTED”「AY-SP-MT」のさらに上のクラスとなるが、構造はオーソドックスなものである。サウンド傾向としてはAY-SP-MTが押し出し良いパワフルなものとなるのに対し、AY-SP-MSPは解像感やバランスに優れた傾向となるようだ。帰国後、いち早くAY-SP-MSP 6.0/AY-SP-MSP 4.0を聴く機会を得たので、新製品のサウンドインプレッションもお届けしたい。

次ページ最新スピーカーケーブル“MAGIC SILVER PRO”を聴く

前へ 1 2 3 4 5 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク