<山本敦のAV進化論>第20回
超高精細WQXGA有機ELタブレット「GALAXY Tab S」レビュー − 10型/8型両方でAV機能を試す
接続設定はそれぞれ機器で「SideSync 3.0」アプリを立ち上げてから機器どうしをWi-Fiダイレクトで接続するだけで、タブレットの画面上にスマートフォンのエミュレーターが表示される。なおスマートフォンの画面は接続が完了した時点でブラックアウトする。
タブレットの側からはスマートフォン上のコンテンツを再生したり、タブレットからスマートフォンを子機のように操作できるため、友人からかかってきた電話をタブレットで受けて、内蔵マイクとスピーカーを使って会話もできる。SideSyncを実行中もタブレットの外部ネットワーク接続は生きているので、無線ルーター経由でインターネットにつなげるのが特徴だ。
スマートフォンに保存されている写真や動画は、より大きなTab Sのディスプレイに全画面表示して見られるのが面白い。音楽コンテンツをタブレットで呼び出して聴くこともできる。ただしスマートフォンのカメラをタブレットで操作することはできなくなっているほか、スマートフォンの内蔵チューナーで受信した地上デジタル放送やNOTTVの番組を転送することも不可となっている。またスマートフォンのエミュレーターの画面上で文字が入力できないので、メールを書いたりWeb検索を行う場合はタブレットを使うということになる。
もう一つオクタコアCPUの高性能処理により実現した機能が「マルチウィンドウ」だ。タブレットの画面上に2つのアプリを同時に表示しながらストレスなく動かすことができる。使い方は最初に起動しているアプリの画面の右端を中央に向かってフリックすると、同時に起動できるアプリのダッシュボードが表示される。一覧からアイコンを画面の中央にドラッグ&ドロップすれば2画面に分割され、例えば音楽を再生しながらブラウザアプリで作品やアーティストに関連する情報をインターネット検索するといった楽しみ方ができるようになる。
■高精細ディスプレイを活用した様々な用途が広がるタブレット
最新のGALAXY Tab Sシリーズの2機種を使ってみて、ともに処理性能と画質の高さに十分な満足感を得ることができた。元のコンテンツの解像度が高いほど、高精細ディスプレイで楽しむ価値が明確に見えてくる。例えば無線LAN機能を搭載するメモリーカードと併用して、デジタル一眼で撮影した写真を手軽に素速くチェックできるビューワーとしても魅力的なタブレットだと思う。他にも指紋認証によるセキュリティロックやモーションコントロールなどGALAXYシリーズの最先端技術も惜しみなく投入されている。
本体の薄さと軽さも特筆しておきたい。それぞれライバルに位置づけられるであろうアップルのiPad AirとiPad mini(Retinaディスプレイモデル)のWi-Fiモデルと比べてみても、10.5インチとiPad Airでは本体の薄さが0.9mm、質量は4gほどGALAXY Tab Sの方に軍配が上がる。また8.4インチとiPad miniの比較では薄さが同じく0.9mm、質量では約37gもGALAXY Tab Sが軽量になっている。今回はブロンズのカラーバリエーションモデルをハンドリングしてみたが、常時鞄に入れて持ち歩きたくなる上質で落ち着いた色合いも好印象だった。
グローバルモデルとして展開されているLTEモデルやSIMロックフリーのモデルについては、サムスン電子ジャパン幹部によれば、今後の国内の市場ニーズを見ながら投入を検討していく予定だという。外出先でBDレコーダーと連携したテレビ番組再生や録画予約などに活用する際、より利便性の高いLTEモデルの登場にも期待したい。