[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第96回】“あの銘機”を彷彿とさせる新イヤホン「TTPOD T1」にあえて全力で突っ込む!
■「デュアルダイナミックドライバー並列型」のイヤホン構成
それでまさに見ての通りなのだが、本機はダイナミック型ドライバーを2基搭載するデュアルダイナミックドライバー構成を採用している。TDK「IE800」のような同軸型ではなくJVC「HA-FXT」シリーズのような並列型だ。
この「デュアルダイナミックドライバー並列型」という構成を採用したことで本機は、自然とこのようなデザインになったものと思われる。何ら恣意的なものはない技術的必然と言えるだろう。まあデザインの最後の仕上げにはちょっとした遊び心を出しちゃったのかもしれないが。
ドライバーは6.2mm系と、もちろん小口径の部類。2基のドライバーのチューニングが異なるとか2ウェイとかいう記述はないので、その分担の詳細は不明。大型ネオジムマグネットの駆動力+ドイツ製バイオナノダイヤフラム(振動板)の威力で、「中高域は繊細な音色で透明感があり、低音域はキレがあり、パワフルな量感をキープ」というのが売り文句だ。
デュアルドライバーであるのでハウジング全体の大きさは小型ではなく、例えばゼンハイザー「IE 800」のような超小型ハウジングモデルとくらべれば大柄。しかしドライバーが小口径なおかげか絶対的に大型というほどではないし重くもなく、装着感も特に悪くはない。イヤーピースがフィットすれば遮音性も確保されている。
■背面のダクト(空気孔)で音質調整
技術面でのもうひとつ大きな特長は、特に詳しい説明はされていないのだが、背面のダクト(空気孔)だ。音質調整のためであろうこれもまた、本機のデザインに技術的な必然性を与えている。
注目してほしいのは上下のダクトの径が大幅に異なること。上下のダクトでそれぞれ異なる帯域を調整しているのか、それとも上下を合わせての調整が行われているのか。それは不明だが、いずれにしてもしっかり計算されたダクトであると期待できる。なおクリア筐体で確認できるようにハウジング内部はドライバーごとに仕切られていたりはしないので、それぞれのドライバー用のダクトというわけではないと思われる。
他には、7,000円ほどのモデルとしては異様なほどに付属イヤーピースが充実しているところにも好感を持てる。9セットが付属するが大きさだけではなく構造や形状が異なり、サイズの他に好みの音質にも合わせて選んでほしいとのことだ。
では音質チェック!全く値段の釣り合いの取れないハイレゾポータブル「AK120II」を投入してその真の実力を引き出す!