[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第86回】今回もやります!「春のヘッドフォン祭2014」高橋敦の超個人的ベスト5
今年は中野サンプラザに帰還して開催された「春のヘッドフォン祭」。中野サンプラザといえばまさに聖地であるから、本連載を読んでくれている革ブロ同志諸君も多く参加していたのではないかと思う。また時間的地理的な問題等で参加できなかった方にしても、本サイトを含めて各所で膨大なレポートが掲載されている(Phile-webの記事一覧はこちら)ので、そちらだけでも存分に満喫というかお腹いっぱいになれたのではないだろうか。
しかしそれはそれとして本連載としても例のあれ=「高橋敦の超個人的ベスト5」を今回もお届けさせていただく。淡々と開始!(ちなみに前回のベスト5はこちら)
【番外編】参加者がさらにどうかしてる
いきなり番外編で展示製品の話ではないのだが、参加者の量はもとより参加者の質が、今回もというか、今回はさらに一段とどうかしていた。Astell&Kern「AK240」とかCHORD「Hugo」とかを持ち込んでる人を普通に見かけることができてしまったのだが…何だこの価値観のインフレっぷり。
ところでAKシリーズといえば、今回展示はされていなかったものの、その裏で「AK120II」「AK100II」の存在が明らかになったとのことだ。見たところ期待通りにAK240の成果を順当に継承してるっぽいので楽しみ(詳細はこちら)。
【第5位】まだだ!まだ終わらんよ!MDR-CD900ST
四半世紀に及び揺るぎなき業界標準スタジオモニターヘッドホンであり続けているSony「MDR-CD900ST」。オーディオリスニング用途への適正については意見というか好みが分かれることは否めないが、しかしこれを愛好するオーディオファンは(僕も含めて)いまも後を絶たない。そんな900ST愛好家の方々に注目してほしいのが以下のふたつだ。
まずひとつめは、これ何かというと、MDR-CD900ST用のサードパーティ製イヤーパッド、YAXI「STPAD-DX」だ。写真のものは赤のラインが鮮烈だが、黒一色で精悍なタイプも用意されている。
MDR-CD900STの特徴である、薄いイヤーパッドによるぺたりとした装着感。「だがそれがいい!」という方もいるだろうが、改善できるものなら改善したいという方も多いはずだ。実際、バリエーションモデルで互換性のある「MDR-7506」の少し厚みのあるイヤーパッドに付け替えるという裏技も一部には定着していた。
その7506用パッドよりもさらに快適さを得られるのが、STPAD-DXだ。低反発ウレタン+プロテインレザーの威力でフィット感も肌触りも実に快適!
イヤーパッドは音響的な影響力も大きいので音質の変化もある。良く言えば厚みや広がりが増し、悪く言えばダイレクト感は少しだが弱まるような気はした。しかし、特にリスニング用としては、悪くない方向へのほどよい変化と言えるのではないかと思う。
もうひとつはこちら、前回もMDR-CD900ST最適化設計ヘッドホンアンプ「BTL-900」を出展していた(そちらも今回も出展)アンブレラカンパニーによる「MDR-CD900ST Mod」だ。
アンブレラカンパニーはブログ等でMDR-CD900STのモディファイ、音質チューニング等の改造方法をあれこれ紹介している。読者はそれを自分で実践することもできるし、その作業の難易度が自分には高いと感じるようなら同社に改造を依頼することもできるという仕組みだ。
で、今回展示されていたのは、BTL-900と組み合わせてのバランス駆動に対応させる4芯ケーブル化に加えて、ダミーケーブルを内蔵したバージョン。…ダミーケーブル?
説明しよう。MDR-CD900STは左ハウジングからのケーブル片出しだ。当然ハウジング内部にも左側だけにそのケーブルが存在し、それが内部吸音材を凹ませるなどしてアコースティックな要素を変化させている。左側だけでだ。
つまり右側のハウジングにもダミーのケーブルを仕込むことで左右のアコースティックな要素を揃えることができるんだよっ!な、なんだってー!
…あまりにも細かなこだわりだが、同社(のエンジニア)をしてそこまでさせる魅力がMDR-CD900STにはあるということだろう。
さてスタジオモニターとして見る場合には、MDR-CD900STの意義のひとつは「基準機」であり「どこのスタジオにでも置いてあって今日までいつでも買えてどれもが同じ音であること」であることだ。その観点からすれば、これらのモディファイはその意義を崩すことになる。しかしあくまでも個人のツールとして用いる、あるいはオーディオリスニングのアイテムとして楽しむ場合になら、こういったモディファイは有効だし、何より楽しい!
しかしそれはそれとして本連載としても例のあれ=「高橋敦の超個人的ベスト5」を今回もお届けさせていただく。淡々と開始!(ちなみに前回のベスト5はこちら)
【番外編】参加者がさらにどうかしてる
いきなり番外編で展示製品の話ではないのだが、参加者の量はもとより参加者の質が、今回もというか、今回はさらに一段とどうかしていた。Astell&Kern「AK240」とかCHORD「Hugo」とかを持ち込んでる人を普通に見かけることができてしまったのだが…何だこの価値観のインフレっぷり。
ところでAKシリーズといえば、今回展示はされていなかったものの、その裏で「AK120II」「AK100II」の存在が明らかになったとのことだ。見たところ期待通りにAK240の成果を順当に継承してるっぽいので楽しみ(詳細はこちら)。
【第5位】まだだ!まだ終わらんよ!MDR-CD900ST
四半世紀に及び揺るぎなき業界標準スタジオモニターヘッドホンであり続けているSony「MDR-CD900ST」。オーディオリスニング用途への適正については意見というか好みが分かれることは否めないが、しかしこれを愛好するオーディオファンは(僕も含めて)いまも後を絶たない。そんな900ST愛好家の方々に注目してほしいのが以下のふたつだ。
まずひとつめは、これ何かというと、MDR-CD900ST用のサードパーティ製イヤーパッド、YAXI「STPAD-DX」だ。写真のものは赤のラインが鮮烈だが、黒一色で精悍なタイプも用意されている。
MDR-CD900STの特徴である、薄いイヤーパッドによるぺたりとした装着感。「だがそれがいい!」という方もいるだろうが、改善できるものなら改善したいという方も多いはずだ。実際、バリエーションモデルで互換性のある「MDR-7506」の少し厚みのあるイヤーパッドに付け替えるという裏技も一部には定着していた。
その7506用パッドよりもさらに快適さを得られるのが、STPAD-DXだ。低反発ウレタン+プロテインレザーの威力でフィット感も肌触りも実に快適!
イヤーパッドは音響的な影響力も大きいので音質の変化もある。良く言えば厚みや広がりが増し、悪く言えばダイレクト感は少しだが弱まるような気はした。しかし、特にリスニング用としては、悪くない方向へのほどよい変化と言えるのではないかと思う。
もうひとつはこちら、前回もMDR-CD900ST最適化設計ヘッドホンアンプ「BTL-900」を出展していた(そちらも今回も出展)アンブレラカンパニーによる「MDR-CD900ST Mod」だ。
アンブレラカンパニーはブログ等でMDR-CD900STのモディファイ、音質チューニング等の改造方法をあれこれ紹介している。読者はそれを自分で実践することもできるし、その作業の難易度が自分には高いと感じるようなら同社に改造を依頼することもできるという仕組みだ。
で、今回展示されていたのは、BTL-900と組み合わせてのバランス駆動に対応させる4芯ケーブル化に加えて、ダミーケーブルを内蔵したバージョン。…ダミーケーブル?
説明しよう。MDR-CD900STは左ハウジングからのケーブル片出しだ。当然ハウジング内部にも左側だけにそのケーブルが存在し、それが内部吸音材を凹ませるなどしてアコースティックな要素を変化させている。左側だけでだ。
つまり右側のハウジングにもダミーのケーブルを仕込むことで左右のアコースティックな要素を揃えることができるんだよっ!な、なんだってー!
…あまりにも細かなこだわりだが、同社(のエンジニア)をしてそこまでさせる魅力がMDR-CD900STにはあるということだろう。
さてスタジオモニターとして見る場合には、MDR-CD900STの意義のひとつは「基準機」であり「どこのスタジオにでも置いてあって今日までいつでも買えてどれもが同じ音であること」であることだ。その観点からすれば、これらのモディファイはその意義を崩すことになる。しかしあくまでも個人のツールとして用いる、あるいはオーディオリスニングのアイテムとして楽しむ場合になら、こういったモディファイは有効だし、何より楽しい!