折原一也がレポート
<IFA>湾曲/直下型/4K有機EL − テレビの最新トレンドと画質インプレッション総まとめ
2014年モデルの4K液晶テレビでは「UHD Ultimate Contrast」の名称で直下型LEDによるローカルディミングを実施。分割数は公表されていないが、ローカルディミング効果を比較的出しづらい明暗部が混在しているソースでも、黒色を巧みに引き締めている。
また、「PureColor Technology」では色補正を従来の27ポイントから7倍となる192ポイントに引き上げており、正確な色再現を実現したとしている。韓国メーカーは派手な色再現が注目されがちだが、ピュアな色再現技術にも力を入れ始めた。
先行者であるソニーや東芝を除いては比較的アピールの少なかった「ハイダイナミックレンジ」についても、サムスンは「Peak Illuminator」の名称で発光エリアに応じて電力を集中させる技術を発表、すでに最上位機に搭載を始めている。デモ映像の効果もソニーが行っているような画面内の輝度が必要なポイントにパワーを集中させた眩しさを実現し、高画質モデルの追い上げも徹底している。
なお、その他の液晶関連技術では「Dolby Vision」技術はフィリップス、また裸眼3D技術は一部中国メーカーブースに見られたのみだった。
■各社が有機ELテレビもデモ
OLED(有機EL)関連の研究については、液晶テレビの高画質化に押され、商品化への道は苦境に立たされている印象だ。
パナソニックブースの有機ELテレビの展示とは、昨年までのIFAの展示とは性格の異なる。パナソニックは今年1月のCESの時点では自社で製造技術を持つメーカーだったが、6月に有機ELの製造をJ-OLEDへと移管。9月時点でパナソニック製の有機ELパネルは、すでに存在しなくなっている。
IFA 2014の会場内されたパナソニックのOLEDのデモは、3,840×2,160ドットの4K OLED”テレビ”としてのデモであり、パネルの製造技術をアピールするものではない。また、採用パネルは非公表としているが、外部のパネルを調達して組み上げたものとみられる。ちなみに、この技術デモのパネルも「カーブド型」の仕様だが、「有機ELパネルは簡単に曲げられるため技術デモとして行っている」ものだ。
有機ELパネルが変更された上での画質デモではあるが、パナソニックの4K有機ELの出来はなかなか良かった。OLEDが持つ、自発光で暗部を完全に消灯できる特性を活かした高コントラストと、VIERAの画質に通じる実写映像の透き通るような高純度の色再現が融合し、自然で奥行き感ある映像美を生み出している。若干、白ピークが明るすぎるところがあったが、他社の極端なデモと比べると、TVセットとしての画質の追い込みとデモソースのクオリティには一日の長がある。なお具体的な製品化は、いまだ検討中とのことだ。