折原一也がレポート
<IFA>湾曲/直下型/4K有機EL − テレビの最新トレンドと画質インプレッション総まとめ
サムスンもブースで4K有機ELテレビの55型モデルを参考出展。今年1月のCESでも披露していたもので、製品化への具体的な進展はないようだ。ちなみに、ソニーからは有機ELをはじめとする新方式TVのデモ展示はなかった。
いまのところ唯一、有機ELテレビを製品化し、展開しているメーカーがLGだ。同社はRGBにホワイトのサブピクセルを加えたRGBW方式を採用し、昨年来、フルHDの湾曲型有機ELテレビを約100万円の価格で、グローバルで販売している。現在生産できている分については順調にセールスが進められている段階にあるという。
2014年モデルについては、湾曲型4K有機ELテレビとして55/65の2モデルをラインナップ。両モデルともグローバルでの発売を予定しており、55型は欧州の価格で6,000ユーロ(日本での発売予定なし)、65型については日本で200万円程度で販売されるとみられる。初披露の77型の価格は未定だ。
LGの戦略として、液晶テレビには直下型LEDは採用せずエッジ型のエントリー仕様とし、ハイエンドの高画質モデルは有機ELを採用するという棲み分けを行っており、画質プレミアムとしての4K有機ELへの期待の高さもうかがわせる。
■液晶の高画質化に伴って難しくなる有機ELの立ち位置
ただ、IFA 2014での有機ELテレビ全体の展示内容を見ると、前述のように実用化、製品化の流れとしてはややトーンダウンしてる感は否めない。
関係者が口をそろえるのは、現在の主流である液晶テレビの高画質化をふまえての、有機ELテレビの立ち位置の難しさだ。
まず、4K液晶の画質にフルHDの有機ELでは対抗できなくなっているということが挙げられる。自発光の特性と暗部諧調の性能はOLEDの方が優れるが、一方で全画面の輝度、さらにはHDRをはじめとしたピーク輝度ではすでに液晶方式が上回っている。また、有機ELは生産の難しさからコストが嵩み、プレミアムの価格帯以外に入り込める余地がなく、4Kモデルでも必然的に最上位モデル以上の値付けにせざるを得ない状況だ。
約10年前に有機ELテレビの技術検討が行われ始めた頃と比較しても市場環境がさらに苦しくなるなか、早期からRGBWピクセルという現実的な生産方法を選択し、すでに製造・販売を行っているLG。今後どれだけ技術革新とコスト面の改善を進められるかにも注目だ。