バランス接続にも対応などこだわり満載
「ソニーの本気」の実力とは? 新最上位ヘッドホン「MDR-Z7」/イヤホン「XBA-Z5」など速攻レビュー
この秋発表されたソニーヘッドホンの新ラインナップを見て並々ならぬ本気度の高さを感じたのは筆者だけではあるまい。IFA2014にてヨーロッパ市場で先行して発表されているが(関連インタビュー)、そのレポートで多くの読者も気になっているであろうソニーの新たなオーバーヘッド型フラッグシップ機「MDR-Z7」、ハイブリッド構成のインナーイヤー型フラッグシップ「XBA-Z5」、そしてMDR-1シリーズの新モデル「MDR-1A」、そのDAC+アンプ内蔵モデル「MDR-1ADAC」、さらには新型BAドライバーを積むことでラインナップが一新されたインナーイヤー型ハイブリッドXBA-Aシリーズ、加えてソニー初のバランス駆動対応ポータブルヘッドホンアンプ「PHA-3」と、ヘッドホンユーザーにとっては夢のようなラインナップの数々が一斉に国内発表された。
今回マスコミ向けに披露された発表会の場で、わずかな時間ではあるが試聴する機会を得たので、軽めではあるが各々のファーストインプレッションをお届けしたいと思う。
■バランス対応の注目機 − フラグシップヘッドホン「MDR-Z7」
まずは注目度の高いフラッグシップ機「MDR-Z7」である。詳細な仕様についてはリリースでも示されると思うので省かせていただくが、その中でも特徴的なトピックについていくつか紹介していきたい。100kHz対応というのは、ソニーのフラッグシップヘッドホンとしては、100kHzオーバーの広帯域再生を実現したオープン型「MDR-SA5000」以来である。新モデル「MDR-Z7」もスペック上は100kHzまでの再生に対応し、ハイレゾ時代への対応を果たしているが、再生周波数の上限値の高さのみを求めたのではなく、あくまで可聴帯域内の再現性、ビット深度への追求ともいえる、緻密でキメの細かい空気感の再生能力を高めているという。
これはハイレゾ音源のリマスターを数多く手がけるニューヨークのマスタリングスタジオのエンジニア陣にもサウンドチューニングに参加してもらった効果もあるようだが、密閉型なのに音離れが良く、広がり、奥行きともに深く、ナチュラルな空間性を味わえた。70mmドライバーを用いた待望のハイエンド機でもあるが、低音過多ということはなく、全帯域に渡って密度感が伴ったスムーズなサウンドだ。音像のフォーカスも見事であり、音のキレや透明感も高く、前後感の定位も明確である。ハイレゾ音源ではその楽器、演者の間にある空気感、場の雰囲気も的確に感じ取れるリアリティの高さを味わうことができた。
ヘッドホンの高級機では平面駆動ドライバーがトレンドとなっているが、そうした動きに対し、ソニー技術陣としては既存のドライバーの持つ可能性を探るという側面からも、従来からの形式にこだわったのだという。同じ平面波を届けるというスタイルは共通しているが、ダイナミック型のメリットであるハイスピードで能率の高い面を生かし、特に大口径ユニットでは難しい超高域までの広帯域再生を実現させた。
加えて「MDR-Z7」「XBA-Z5」とも“メイド・イン・ジャパン”体制で生産されており、プロダクトとしての仕上げや品質の高さも申し分ない。
さらに驚きの要素の一つである、キンバーケーブルとの協業による「MDR-Z7」用リケーブルMUC-Bシリーズも非常に存在感あるアイテムである。標準ケーブルもグランド独立・銀コートOFC線を用いているので決して悪いものではないが、ステレオミニ・シングルエンドタイプ「MUC-B12SM1」に繋ぎ換えると音の緻密さや滑らかさが向上し、さらにアナログライクでナチュラルなサウンドとなった。
そして「PHA-3」「MUC-B20BL1」を用いたバランス駆動のサウンドも確認してみたが、空間のS/Nが格段に向上し、音像の彫りも一層深くきめ細やかで、各楽器の分離も良いが極めて自然で誇張感のないものとなっている。ちなみに「PHA-3」の出力段は「PHA-1」「PHA-2」と同じTPA6120によるOCL構成であるそうだ。バランス駆動時には2つのTPA6120でドライブさせており、極めて安定性が高い。DACのES9018も片チャンネルあたり4つのDAC回路をパラレル駆動させ、歪み率やS/N改善に役立てているという。
ポータブル機器のバランス駆動用には角型タイプやΦ2.5mmプラグなどを用いるモデルも多いが、ソニーでは一般的なステレオミニプラグを2本用いる独自方式としている。これも音質面、自作も含めた市場への対応性の高さを求めた結果であると思われるが、他社を含め、ポータブル機でのバランス駆動をどういうスタイルで実現するのか、その動向に注目したいところだ。
今回マスコミ向けに披露された発表会の場で、わずかな時間ではあるが試聴する機会を得たので、軽めではあるが各々のファーストインプレッションをお届けしたいと思う。
■バランス対応の注目機 − フラグシップヘッドホン「MDR-Z7」
まずは注目度の高いフラッグシップ機「MDR-Z7」である。詳細な仕様についてはリリースでも示されると思うので省かせていただくが、その中でも特徴的なトピックについていくつか紹介していきたい。100kHz対応というのは、ソニーのフラッグシップヘッドホンとしては、100kHzオーバーの広帯域再生を実現したオープン型「MDR-SA5000」以来である。新モデル「MDR-Z7」もスペック上は100kHzまでの再生に対応し、ハイレゾ時代への対応を果たしているが、再生周波数の上限値の高さのみを求めたのではなく、あくまで可聴帯域内の再現性、ビット深度への追求ともいえる、緻密でキメの細かい空気感の再生能力を高めているという。
これはハイレゾ音源のリマスターを数多く手がけるニューヨークのマスタリングスタジオのエンジニア陣にもサウンドチューニングに参加してもらった効果もあるようだが、密閉型なのに音離れが良く、広がり、奥行きともに深く、ナチュラルな空間性を味わえた。70mmドライバーを用いた待望のハイエンド機でもあるが、低音過多ということはなく、全帯域に渡って密度感が伴ったスムーズなサウンドだ。音像のフォーカスも見事であり、音のキレや透明感も高く、前後感の定位も明確である。ハイレゾ音源ではその楽器、演者の間にある空気感、場の雰囲気も的確に感じ取れるリアリティの高さを味わうことができた。
ヘッドホンの高級機では平面駆動ドライバーがトレンドとなっているが、そうした動きに対し、ソニー技術陣としては既存のドライバーの持つ可能性を探るという側面からも、従来からの形式にこだわったのだという。同じ平面波を届けるというスタイルは共通しているが、ダイナミック型のメリットであるハイスピードで能率の高い面を生かし、特に大口径ユニットでは難しい超高域までの広帯域再生を実現させた。
加えて「MDR-Z7」「XBA-Z5」とも“メイド・イン・ジャパン”体制で生産されており、プロダクトとしての仕上げや品質の高さも申し分ない。
さらに驚きの要素の一つである、キンバーケーブルとの協業による「MDR-Z7」用リケーブルMUC-Bシリーズも非常に存在感あるアイテムである。標準ケーブルもグランド独立・銀コートOFC線を用いているので決して悪いものではないが、ステレオミニ・シングルエンドタイプ「MUC-B12SM1」に繋ぎ換えると音の緻密さや滑らかさが向上し、さらにアナログライクでナチュラルなサウンドとなった。
そして「PHA-3」「MUC-B20BL1」を用いたバランス駆動のサウンドも確認してみたが、空間のS/Nが格段に向上し、音像の彫りも一層深くきめ細やかで、各楽器の分離も良いが極めて自然で誇張感のないものとなっている。ちなみに「PHA-3」の出力段は「PHA-1」「PHA-2」と同じTPA6120によるOCL構成であるそうだ。バランス駆動時には2つのTPA6120でドライブさせており、極めて安定性が高い。DACのES9018も片チャンネルあたり4つのDAC回路をパラレル駆動させ、歪み率やS/N改善に役立てているという。
ポータブル機器のバランス駆動用には角型タイプやΦ2.5mmプラグなどを用いるモデルも多いが、ソニーでは一般的なステレオミニプラグを2本用いる独自方式としている。これも音質面、自作も含めた市場への対応性の高さを求めた結果であると思われるが、他社を含め、ポータブル機でのバランス駆動をどういうスタイルで実現するのか、その動向に注目したいところだ。
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