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角田郁雄のオーディオSUPREME

【第4回】これぞプレミアム・スモールオーディオ。SOUND WARRIOR「SW Desktop-Audio」を聴く

公開日 2014/11/27 18:13 角田郁雄
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倍音再現や空間表現に優れたCDトランスポート「SWD-CT10」

これだけの機能を持ったスモールオーディオには、なかなか巡り会わない。素晴らしい。まずはCDトランスポート「SWD-CT10」、USB-DAC「SWD-DA10」の組合せの音を確かめるため、私のリファレンスシステムに接続してみた。USB-DAC以下のシステムは、プリアンプ:MARK LEVINSON「No52」→デジタル・ヴォイシング・イコライザー:ACCUPHASE「DG-58」→パワーアンプ:ACCUPHASE「A-70」→スピーカーシステム:FOCAL「Scala Utopia」だ。

まずはCDトランスポート「SWD-CT10」のUSB-DAC「SWD-DA10」の組み合わせのサウンドを確認した

最初に、お気に入りのCDであるリンダ・ロンシュタットの『Hasten Down the Wind』を再生したのだが、一聴しただけでも、きめ細かで倍音再現性の高い音質に驚いた。ヴォーカルの艶やかな声の背景にマルチトラック録音したヴォーカルがきちんと重なる。シンバルの切れの良さ、タイトなベースとドラム、輝くピアノの音は厚みがある。そのスケール感のある音は、耳になじむ、いい音。空間性も良く再現される。

「SWD-CT10」はスロット・イン方式のドライブを内蔵している

ゾクゾクしたのはシェーンベルクの弦楽曲だ。音の鮮度が高く、きめ細かで、木質感たっぷりの弦が左右、中央に飛び交う。バー・ブラウン社のDAC「PCM1795」の特性である繊細な表現力、倍音再現性、マルチビット型DACチップのような中低域の力強さが良く表れている。音に厚みがあり、プロ機っぽい音を感じる。この音、私は好きだ。

クロック・ジェネレーター「SWD-CL10」で自分好みの音作りができる

これにクロック・ジェネレーター「SWD-CL10」を接続すると、空間再現性の高さがさらに発揮され、音像の輪郭がはっきりする。これが高精度クロックに完全同期し、伝送ジッターを低減した効果であり、リアルな空間性が引き出されたのである。サンプリングレートを44.1kHzから192kHzへと順次変更すると、主に中高域の音の密度が変化する。再生するCDによってベストな音質が探れるところが実に楽しい。私としては88.2kHzが中域の解像度が向上し、好みの音になる。ブルーノートのジャズを聴くとトランペットやサックスの響きに重厚感を感じるのだが、これが実に良い。このようにクロックの完全同期をとると、正直なところ、ちょっと後戻りできないほど高品位な音質となる。来年の「SWA-CL10」の発売が待ち遠しい。

真空管バッファーを内蔵したデジタルアンプ「SWD-TA10」

真空管バッファー内蔵D級アンプ「SWD-TA10」にも、私は注目している。透明で豊かな倍音を発する12AU7真空管を初段に使用し、これをD級アンプで増幅する。D級アンプの基本的な増幅の過程は、アナログ音源を疎密波(パルス波)に変え、MOS-FET素子などで増幅し、最後はローパスフィルターを通過し、スピーカーをドライブするという流れ。DSD信号を増幅するようなイメージと言えるかもしれない。

また倍音を引き立てるという意味では、真空管とD級アンプは非常に相性が良い。実際、SW Desktop-Audioシリーズの4モデルを接続して再生したCDの音質は、DSDのような柔らかみのある質感が加わり、密度の高い音が聴けることが特徴だ。

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