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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第108回】あのメガドラが現代に蘇る?「メガドラアンプ」キットの謎サウンドに驚愕!

公開日 2014/12/12 10:38 高橋敦
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■通常モードと低電圧動作を試す!

とにかく、基板上の二箇所のセラミックコンデンサ(それぞれ基板上でC3とC4との表記)が直の半田付けではなくソケットで簡単に着脱できるようになっている。

写真中央がそのコンデンサを抜いてみたところで、写真左は抜いていない状態

これが装着されている状態が本機の本筋である「MDモード」、外した状態が「通常モード」だ。前者がメガドラ感を出すための調整で、それを外した後者は曰く「普通のヘッドフォンアンプモード」とのこと。「このヘッドホンアンプはアンプであると同時に意図的に音を汚すエフェクターと考えた方が〜」と前述したが、どうもそのエフェクターとしての部分の大きなポイントがこのコンデンサ周りのようだ。

では実際、そのコンデンサーを外して通常モードにすると音はどう変化するのか?ロビンマスクが鎧を、ピッコロさんがマントを脱いだときのようなアレなのか?

高域が落ちなくなって音色も空間も明るくなるというのがその印象だ。といっても根本的にはローファイはローファイなまま高域が広がるという感じなので、解像感が云々とかクリアさが云々とかそういうところが決定的に向上するわけではない。「トレブル〜プレゼンスのアクティブイコライザー的な効果をスイッチひとつじゃなくてあえて面倒な手順で提供」程度に受け止めておくのがよい気がする。

なお全体のサイズや足の線材の太さ的に可能な範囲であれば、コンデンサを付属のものとは別のものに差し替えて音質の変化を楽しむこともできるはず。もちろん完全にメーカー保証対象外だし僕も保証しないが。ちなみにその部分の標準搭載コンデンサーは他と同じく茶色のセラコンで容量の数値は560pF。

で、説明書をさらに眺めてみると本機の電圧周りのスペックは、

●絶対最大定格:7V
●動作範囲  :1.8〜6.0V
●標準    :5V

とのこと。…これ、動作範囲内で電圧下げてみたらもっといい感じに歪むんじゃね?(←ファズ好きギタリストにありがちな発想)。テキトーに説明すると、だいたいの音響機器は電圧を下げると動作に余裕がなくなって不安定になり歪みやすくなるものなのだ。

というわけでこれまたもちろん完全にメーカー保証対象外だし僕も保証しないが、電池ボックスの配線の一部を電池ではなく配線材で直結してジャンプさせることで、ジャンプした電池の分だけ基板への供給電圧を落とすことができる。つまり標準は単4電池1.5V前後×4本で6V前後だが、それを動作範囲内だと、

●4本で6.0V前後
●3本で4.5V前後
●2本で3.0V前後

と変更できるわけだ。「前後」というのは、電池の種類やモデルや消耗度合いによって電圧は異なるので、以上の数値は大雑把な目安に止めてほしいという意味。ちなみに普段は「電池とBD-Rはパナソニック!」な僕だが、今回は何かに付属していたのが余っていたデュラセルを使用。こちらも定評あるアルカリ電池だ。

で実際に、「●2本で3.0V前後」のパターンを試してみた。

電池ボックスのこの部分を直結することで電池2本分をジャンプ。エレキギターの弦を半田付けも何もせず穴に通して結んだだけ

…なのだが意外と、音質激変はなかった。元がアレだからか「動作電圧が半分になった程度で揺らぐ私ではないッ!」的な強さを発揮しているようだ。とはいえ全体にざわつきやぼやけが強まる感じはやはりある。さらに数回ほどダビングした感じだ。レトロ感がさらに強まるとは言えるだろう。しかしやはり普通に電池4本での6V供給のときがそのあたりも含めてバランスがよいと感じるのは元の設計の巧さか。

で念のためもう一度繰り返しておくが、電子機器のましてや電源部をいじるというのは、完全なる自己責任モードだ。メーカー保証の件だけではなく、安全性の問題として考えてほしい。今回の例は乾電池4本の最大6Vなので危険性は皆無だが、とはいえ忘れてはならないポイントだ。

■まとめ

というわけで今回は「メガドラアンプ」を試してみたのだが、これはもう言うことなし。ぴんと来た方の期待を裏切ることはなく、ぴんと来なかった方には全くの無価値。これぞ正統派のイロモノだ!

高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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