機能や画質、音質を徹底比較
ガチンコ対決!パイオニア「BDP-LX88」vs OPPO「BDP-105DJP」
■音質比較!「BDP-LX88」を試聴する
LX88の重量級ボディは再生音にも確実な効果を生んでいる。デジタルオーディオ回路とビデオ回路をオフにする「ダイレクト」を選んだアナログ出力の再生音は、重心が低く安定し、ベースやドラムの音像がゆるぎなくビシッと定位する。重心が低いとは言っても低音が太ってしまう心配はなく、アタックにも緩みはない。
それはジャズやロックだけでなく、ピアノやオーケストラなどクラシックの音源でもプラスにはたらき、音の勢いや演奏の流れを素直に実感できる。ボーカルには付帯音が乗らず、スーッと音が立ち上がる気持ちよさがあり、シャーシの剛性を高めた成果をはっきり聴き取ることができた。SACDを含む音楽ディスクはトレイオープンから10秒強で音が出るが、これは105DJPより1〜2秒ほど短い。前作のBDP-LX91がかなりゆっくりだったこともあり、LX88の動きの良さが際立つ。
ネットワーク再生はPCMとDSDそれぞれの特徴を正確に鳴らし分けることに加え、ディテールと空間情報の再現も非常に次元が高く、DACのパフォーマンスの高さを思い知らされる。
BDビデオの再生音もアナログ入力と基本的な傾向はよく似ている。低音にしっかりエネルギーを乗せながらソリッドな質感を失わず、同じ低音でも効果音と音楽それぞれの音色を正確に描き分ける力がある。台詞は男性の声が痩せず、映画らしい密度感を引き出す。『007 スカイフォール』の地下鉄が激突するシーンでの衝撃音のインパクトの強さなど、情報量の余裕と瞬発力が要求される場面のスケール感と迫力も普及クラスのBDプレーヤーと一線を画している。
■「BDP-105DJP」の音質をチェック
105DJPの再生音は中低域にエネルギーの重心を置いたうえで中高域に若干のエッジを効かせ、メリハリのはっきりした音に仕上げている。ユニバーサルプレーヤーのアナログ出力としてはかなり高水準で、バランス出力に切り替えると低音の量感や安定感も向上するので、あえてアナログ接続を選ぶメリットは確実にあると感じた。
ただし、輪郭がはっきりしているとは言っても本当に立ち上がりが速い音とは少し違う印象があり、特にネットワーク再生でハイレゾ音源を聴いたとき、肝心なところであと一歩鋭さが欲しいと感じることがあった。映画の再生音はLX88に比べると若干重心が高めだが、サラウンド音場の広さや包囲感など、空間情報の再現には余裕が感じられた。筆者も105DJPより2世代前のOPPOの製品を使っているが、基本的な情報量と音の伸びやかさは確実に向上している印象を受けた。
■ネットワーク再生機能をチェック
LX88のネットワーク再生について、音質には不満がないだけに残念に感じるのは、使い勝手が専用機にまったくかなわないことだ。リモコン同様の内容はiControlAVから操作できるが、肝心のNASのブラウズや選曲はテレビ画面を見ないと操作できない点は特に不便に感じる。
一方、OPPOの105DJPは、純正のコントロールアプリ「Media Control」からネットワーク再生の操作することが可能(※2)。リモコンと同様の操作をアプリからできるほか、NASのブラウズや楽曲の選曲・再生、シークなど一通りの操作を行うことができる。本体の設定の大半はアプリから操作することが可能で、ディスプレイを接続せずに使うことも可能だ。※2 記事初出時「OPPOの純正アプリもアプリ上では選曲できない」と記述しておりましたが、誤りでした。お詫びして訂正致します。
BDP-105DJPは、日本国内で利用できないものも含めて様々なストリーミングサービスに対応している。そのなかで注目すべきはベルリンフィルのデジタル・コンサートホールに対応していることだろう。もちろん契約は必要だが、パソコンに比べてクオリティと使い勝手が良いので、同サービスが気になっている人には105DJPは有力な候補になるはずだ。