【特別企画】人気ヘッドホン6モデルと組み合わせ試聴
ローランドの超小型USB-DAC/ヘッドホンアンプ「Mobile UA」のヘッドホン駆動力を探る!
ローランド独自テクノロジー「S1LKi」とは
最大の特徴となるのは、Mobile UAのハイライトとなる技術である“スーパー・1ビット・リニア・キネティック"「S1LKi」(シルキー)。これは、ローランドが独自開発したカスタムチップにより、44.1kHzのフォーマットを一旦176.4kHz(48kHzの場合は192kHz)へアップサンプリングしたうえで、1bit信号へと変換する高音質化技術だ。このS1LKiの搭載により、どんな音源でも簡単に1bitの音が味わえる。また、Windows/Macの両環境でDSDネイティブ再生に対応すべく、DSDフォーマットの伝送方式にはDoP version 1.0を採用。5.6MHzは一度2.8MHzへダウンコンバートして変換する仕組みを採っているが、これは信号の変換精度を優先して採用されたものとのことだ。
Mobile UAでは再生品質を上げるために念入りに設計されたデジタル/アナログ回路部や、独立した専用ICを積んだ2系統あるヘッドホンアンプを搭載している点も大きな特徴だ。特にヘッドホンアンプは独立した回路構成となるので、かなりの大出力にも対応する。
Mobile UAを眺めていると「それにしても小型なボディによくここまで音質向上のための機能を搭載できたな」と感心する。Mobile UAは、大規模な開発リソースとUSBインターフェイスに対するノウハウを持つローランドでなくては製品化できなかったに違いない。
それでは実際にMobile UAと6種類のヘッドホンを組み合わせて、音を確認してみよう。
昨今のハイレゾブームにより、スタジオマスターと言われる、いままで制作関係者やアーティスト自身が現場でしか聴けなかった高音質な音源が手に入るようになった。制作現場でしか聴けなかった音がダイレクトに聴けるようになったのである。
製作現場でのプレイバックや音決めは、モニタースピーカーと共にヘッドホンが多用されているのはご承知の通り。だからこそ、私はアーティストがレコーディングで求めた音、マスタリングエンジニアの感性をそのまま聴けるのが、ヘッドホン・リスニング最大の長所だと思っている。音色を最終的に決めるのは、ヘッドホン本体の個性であって欲しい。USB-DAC/ヘッドホンアンプは、PCから送られる楽曲を、極端な色付けをしないで情報量豊かなまま変換し、そして正確にヘッドホンを駆動するべきであると思うのだ。
Mobile UAはWindows/Macどちらでも使用可能だが、いずれの場合も同社のウェブサイトから専用ドライバのインストールが必要となる。今回はMacBookPro (13インチ、mid 2012、OS:Yosemite)と、音質に定評のあるAudirvana Plus 2.0を組み合わせて使用した。OS上におけるMobile UAの基本的な設定等は、写真とそのキャプションを参照して欲しい。
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