最新のハイレゾ音源からアナログ盤までを試聴して音質を検証
フィリップスの新フラグシップヘッドホン“Fidelio”「X2」を中林直樹がレビュー
■レコード針の周囲にある空気までもが耳に届くかのよう
最後にアナログ盤を聴いてみよう。実は前述の高野寛をプロデュースしたモレーノは、13年振りにソロアルバム『Coisa boa』を発表した。高野をはじめ、嶺川貴子、さらにはアート・リンゼイも参加している。そのアナログ盤を遅ればせながら入手することができたのだ。
収録曲はいずれも悠然とした曲調とテンポで、サウンドも気の合う仲間たちと手作りしたかのようである。基本的にはアコースティックサウンドだが、面白いのはところどころに微細なエレクトロニクスが仕込まれていること。A面3曲目の「Em todo lugar」ではアート・リンゼイおなじみのひねりの利いたエレキギターが聴ける。そのソリッドな感触も十分に伝えてくれた。また、モレーノの歌声からはほっこりとした暖かさを感じることもできた。この部分がいわゆるアナログ的な雰囲気につながっているのではないだろうか。さらには、針がレコードをトレースする、その周囲にある空気までもが耳に届くかのようだった。そんな滅多にできない体験を、X2のおかげでしてしまった。今度はもっと時間をかけて音楽に浸りたい、そう思わずにはいられなかった。
最後にアナログ盤を聴いてみよう。実は前述の高野寛をプロデュースしたモレーノは、13年振りにソロアルバム『Coisa boa』を発表した。高野をはじめ、嶺川貴子、さらにはアート・リンゼイも参加している。そのアナログ盤を遅ればせながら入手することができたのだ。
収録曲はいずれも悠然とした曲調とテンポで、サウンドも気の合う仲間たちと手作りしたかのようである。基本的にはアコースティックサウンドだが、面白いのはところどころに微細なエレクトロニクスが仕込まれていること。A面3曲目の「Em todo lugar」ではアート・リンゼイおなじみのひねりの利いたエレキギターが聴ける。そのソリッドな感触も十分に伝えてくれた。また、モレーノの歌声からはほっこりとした暖かさを感じることもできた。この部分がいわゆるアナログ的な雰囲気につながっているのではないだろうか。さらには、針がレコードをトレースする、その周囲にある空気までもが耳に届くかのようだった。そんな滅多にできない体験を、X2のおかげでしてしまった。今度はもっと時間をかけて音楽に浸りたい、そう思わずにはいられなかった。