【特別企画】デノン「PMA-50」への採用でも注目
英CSRが開発、ハイレゾ時代のデジタルアンプ技術「DDFA」。その実力を山之内 正が検証
■CSRの試作アンプでDDFAのポテンシャルをチェック
試作機は電源部の構成が異なる2機種を試聴した。出力は30Wと100Wと大きく異なるが、いずれもリニア電源を採用した本格的な構成で、部品の選択や基板配置にも十分な配慮が行われている。
どちらのアンプもデジタル入力で聴くハイレゾ音源の再生音は自然な周波数バランスと推進力豊かなエネルギー感が両立し、音楽的な表情の豊かさをそなえている。俊敏なレスポンスと繊細なディテール再現がその豊かな表情を支えていることに加え、ベースラインが鮮明に浮かび上がる点にも特徴がある。中低域から高域にかけてもすっきりとした感触があり、声の音像に余分な音がまとわりつかず澄んだ音色を堪能することができた。
出力が大きい方の試作機で聴くオーケストラのサウンドは瞬発力の大きさに圧倒される。試作機はスリムな筐体のなかに強力な電源部と凝縮されたアンプ回路を内蔵しているが、ティンパニやコントラバスなど低音楽器のインパクトの強さは大型のパワーアンプに迫るものがあり、そのコンパクトな外見からは想像できないほどの量感を味わうことができた。
アンプブロックの回路規模は既存のデジタルアンプに比べて少し大きいように見えるが、DDFAのデバイスと周辺回路を含めた回路全体の規模はチャンネルあたり100Wのアンプとしては驚くほど小さく、発熱も非常に少ない。
続いて、このDDFAを実際に搭載した国産メーカーでは初めてのモデル、デノン「PMA-50」を聴いてみよう。
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