【特別企画】デノン「PMA-50」への採用でも注目
英CSRが開発、ハイレゾ時代のデジタルアンプ技術「DDFA」。その実力を山之内 正が検証
■諸特性をここまで引き上げたデジタルアンプは他に存在しない
DDFAは、PWM変調された信号を基準PWMと比較し、その差分をデジタルベースで処理してエラー訂正を行う回路、ローパスフィルター後の成分をフィードバックしてフィルターの非線形性を補正する回路などで構成され、既存のデジタルアンプに比べて高精度な補正処理を行うことができる。
出力段と電源それぞれにエラー補正を行うことで歪の低減効果と電源変動の補正を両立させることに加え、出力インピーダンスを最小に抑える効果も発揮する。
複数の高精度な補正が生む効果は数値にも現れている。S/N 117dB、全高調波歪率0.004%以下などの優れた特性を実現しているほか、ダンピングファクターも2000を超える。高性能なアナログアンプを凌駕するほどの性能を実現しながら効率は90%を上回り、その点でも他社のデジタルアンプに引けを取らない。
諸特性をここまで高水準に引き上げたデジタルアンプは他に存在しないので、オーディオメーカーの関心がDDFAに集まるのは無理のないことだと思う。
■デジタル信号をダイレクト入力可能な点も音質に有利
デジタル信号をI2S形式でダイレクトに入力できる点もDDFAの利点の一つだ。他のデジタルアンプはデジタル入力をいったんアナログに変換する方式が一般的だが、DDFAはハイレゾ音源を含むさまざまなデジタル信号を直接入力できるため、DACの性能に左右される心配がない。ハイレゾ音源の’膨大な情報を漏らさず再現するうえで、一貫したデジタル処理がもたらすメリットは小さくないはずだ。
DDFAを国内ブランドで初めて採用した製品がデノンのPMA-50である。フルデジタル処理のプリメインアンプと高性能なUSB-DACを統合しながらコンパクトな筐体を実現し、ヘッドホンアンプとしても注目を集める存在だ。デノンの高級アンプでおなじみの「Advanced AL32 Processing」とDDFAの組み合わせがどんな音を生み出すのか、興味は尽きないが、PMA-50の音を聴く前に、まずはCSRの設計陣が作り上げた試作アンプでDDFA単独でのポテンシャルを確認してみよう。
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