【特別企画】クラシックからアニソンまで様々な楽曲でチェック
iBassoのハイレゾ対応カードサイズポタアン「D Zero MK2」の実力を徹底検証
アニメ「艦隊これくしょん -艦これ-」のEDテーマである西沢幸奏の『吹雪』(48kHz/24bit)は、冒頭のオーケストラの音数の多さを音源そのままに再現する。特にエレギのエネルギー感がダイレクトに届き、音の中の音の描き分けの巧みさが発揮できた。
同じくOPテーマのAKINO from bless4『海色』(48kHz/24bit)は、CD音源で聞くとキツさも感じさせる楽曲だが、音の歯切れ良さと重低音のパワフルさを伝える。なお『海色』に限っては高域と低域をより派手に響かせる前機種の「D Zero SE」の方がマッチするように感じた。このあたりは好みによっても変わってくるだろう。
このようにアニソンの一部曲では「Z-ZERO SE」のほうが相性のよい曲もあったが、それ以外の曲では何より音の情報量の差が大きく「D Zero MK2」が数枚上手。カードサイズの薄型デザインでありながら音のセパレーションを明瞭に出す、高音質の基礎を丁寧に作り込んだモデルといった印象だ。
なお試聴にはAKGの「K712 PRO」やオーディオテクニカ「ATH-IM02」「ATH-CKR10」を使用した。「K712 PRO」はインピーダンスが120Ωのためアンプにある程度の駆動力が求められるヘッドホンでもあるが、「D Zero MK2」ではHi/Loゲイン切り替えの「Lo」で十分駆動できていた。
オーディオテクニカの2モデルとの組み合わせでは、「ATH-CKR10」が好印象。全帯域の情報をストレートに引き出し、かつ中域の解像感も出せてボーカルもよく鳴らす。「D Zero MK2」は、「ATH-CKR10」のようにハイレゾ対応でポテンシャルの高いイヤホンの実力を引き出してくれるタイプのようだ。
■他機種にない利用シーンも思い浮かぶ傑作モデル
この「D Zero MK2」のカードサイズは筆者としても大のお気に入り。極論すればイヤホンに付属するリモコンが大きくなった程度で、いとも簡単にポケットにも納まってしまう。これぞまさに“ポータブル”ヘッドホンアンプと言えるサイズが魅力的だ。
また、「D Zero MK2」のカード型ボディを見て閃いたのが、これなら手帳型のiPhoneケースに収容できてしまうということ。iPhone本体と「D Zero MK2」とを手帳型iPhoneケースに収めて持ち歩く、というのは“ポタアン”環境としては非常にシンプルだ。
なお、Androidのスマートフォンと直結できるUSB OTGケーブルも標準で付属。筆者の常用しているXperia Z3 CompactのMicroUSB端子と接続してみると、Xperia標準の「Walkman」アプリからあっさりとハイレゾ音源出力に成功した。これならすぐに使えて日常的に持ち歩く用途にとても良い。
また、iPhone/iPadとの接続はApple製Lightning-USBカメラアダプタを経由してUSBケーブルで接続できる。iPhone 6ではオンキヨーの「HF Player」と組み合わせることでハイレゾ再生に成功した。
長々と「D Zero MK2」の実力を検証してみたが、これほど小型化したサイズの制約もある中でハイレゾに対応し、中域の解像感、そして音のセパレーションの良さといった正統派高音質サウンドを実現した点はお見事。スマホと組み合わせて気軽に使うなど、他機種にない利用シーンも思い浮かぶ傑作モデルだ。
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