ネットワークオーディオを構成する3つの要素とは?
音楽ファンのための “ネットオーディオ” 完全ガイド【第11回】「ネットワークオーディオで楽しむ(1) 基礎知識」
連載目次 |
第1回「まず『音源』ありき」 第2回「タグについて理解しよう」 第3回「コーデックの基礎知識」 第4回「ライブラリを構築する」 第5回「音源の入手方法(1) CDのリッピング」 第6回「音源の入手方法(2) 配信サイトからのダウンロード」 第7回「PCオーディオで楽しむ(1) 基礎知識」 第8回「PCオーディオで楽しむ(2) USB-DACを活用する」 第9回「PCオーディオで楽しむ(3) 色々な再生ソフト」 第10回「PCオーディオで楽しむ(4) オーディオルームとPCの親和性」 第11回「ネットワークオーディオで楽しむ(1) 基礎知識」 第12回「ネットワークオーディオで楽しむ(2) サーバー」 第13回「ネットワークオーディオで楽しむ(3) プレーヤー」 第14回「ネットワークオーディオで楽しむ(4) コントロール」 第15回「様々な再生方法」 |
「ネットワークオーディオ」であることを決定づける要素とは?
「ネットワークオーディオ」というものに対して、はたしてどのようなイメージが持たれているでしょうか。筆者が考えるに、おそらくこんなところだと思います。
・LANを用いて、音源のデータをプレーヤーにストリーミングして再生するシステム
・PCオーディオと異なりPCは不要
・PCオーディオと比べるとシステムの構築が難しい
・音楽を快適に聴ける
1つ目は正しいと言えば正しいのですが、あくまで一面的な捉え方に過ぎません。「LANの仕組みを使う」ことが「ネットワーク」という名称の由来となったことは確かですが、これではPCオーディオのことを単に「PCとDACをUSBケーブルで接続するシステム」だと言っているようなものです。
2つ目は時として拡大解釈されますが、あくまで「プレーヤー」としてのPCが不要というだけです。本連載の最初から書いてきたとおり、PCオーディオもネットワークオーディオも使用するデジタルファイルとしての音源は同じものであり、音源の管理編集にはPCが必要です。リッピングのためのディスクドライブを備えるなどして「PCレス」を謳う製品も存在しますが、筆者の知る限り、音源の管理編集を含むネットオーディオの全工程を“完全にPCレスで行える”ものはありません。
3つめは、確かにPCとUSB-DACさえあれば音が出るPCオーディオに比べれば必要な機器が多いのは事実です。しかし、要点さえ理解してしまえば心配するほど難しくはありません。ネットワークオーディオに使用する多くの機器がDLNA/UPnPという仕組み(詳細な説明はあえて省きます)に対応しており、相互接続性が確保されていることも安心材料と言えます。
4つめはネットワークオーディオのメリットとしてよく言及されています。筆者も異論はありません。
これらを踏まえたうえで、今回はネットワークオーディオの基礎知識ということで話を進めていきます。
ネットワークオーディオの三要素
さて、筆者の考える「ネットワークオーディオ」とは、下図に斜線で示した領域を指します。
要素をより細分化するとこうなります。
図の「水色+斜線」部分、PCオーディオと重なり合う領域が「コントロール」ということは前回の記事で示した通りです。図の右側の「緑+斜線」部分、ネットワークオーディオならではの部分にあたるのが「サーバー」と「プレーヤー」であり、このふたつが実質的な製品ジャンルを構成しています。
この段階では、ネットワークオーディオとは「デジタルファイル音源の保存と再生にそれぞれサーバーとプレーヤーを用い、独立した端末からそれらをコントロールする形態」と定義できます。
上で示した「サーバー」「プレーヤー」「コントロール」がネットワークオーディオの基本三要素となります。この三要素について理解することが、ネットワークオーディオについて理解を深めることに直結します。
また、この三要素はあくまでネットワークオーディオのシステムにおいて果たす「役割」であり、特定の機器を指すものではありません。使っている機器が高いか安いか、といったこととは何の関係もありません。大切なのはそれぞれの役割を理解することです。(「サーバー」「プレーヤー」「コントロール」の三要素については、次回以降の記事でもより詳しく触れていきます)