プレーヤーの使い勝手を決める“オンデバイス・プレイリスト”とは?
音楽ファンのための “ネットオーディオ” 完全ガイド【第13回】「ネットワークオーディオで楽しむ(3)プレーヤー 」
逆木 一が「“音楽ファンのための“ネットオーディオ」をテーマに、ネットオーディオの概念から基礎知識までを紹介していく本連載。ネットワークオーディオ編の第3回目は、花形ともいえるネットワークオーディオプレーヤーを紹介していく。ネットワークオーディオの基礎知識を紹介した第11回と、サーバーについて解説した第12回を併せてお読みいただくと、よりその本質が理解できるはずだ。
■純粋に「データ処理としての再生」のみを行う存在こそ理想のプレーヤー
今回取り上げるのは、ネットワークオーディオにおける「プレーヤー」です。第11回と重複する部分もありますがご了承ください。おさらいになりますが、「プレーヤー」とは、サーバーから配信された音源/データを処理し、最終的に音声信号を出力するものを指します。「サーバー」同様、「プレーヤー」もあくまで「役割」だと言えます。この役割を担う機器としては、いわゆるネットワークオーディオプレーヤーや、同機能を備えたAVアンプ等が該当します。
ただ、プレーヤーはPCオーディオのように1つのPCの中で複数の再生ソフトが走る余地はなく、ソフトとの組み合わせによって挙動を変えるということがありません。そのため、役割である「プレーヤー」は機器である「ネットワークオーディオプレーヤー」と完全に一体化しています。AVアンプ等は「アンプ一体型ネットワークオーディオプレーヤー」と考えればわかりやすいでしょう。
これを「オーディオ機器として完成されている」と見るか、それとも「自由度がない」と見るかは人それぞれです。「私は音楽を聴きたいのであってPCいじりをしたいのではない」というユーザーには歓迎されるでしょうし、「ユーザーが介入できる領域の広さ」という点にネットオーディオの魅力を見出しているユーザーには物足りないと思われても仕方がありません。
さて、プレーヤーの役割はずばり「音源の再生」、それも「データ処理としての再生」です。「ライブラリの閲覧・選曲を含む音楽再生のコントロール」がプレーヤーから独立しているため、ネットワークオーディオにおけるプレーヤーは非常に受動的な存在だと言えます。
音楽を聴く際、ユーザーはネットワークオーディオプレーヤーを見る必要も触る必要もありません。音楽再生のコントロールのすべてが情報の表示を含めて手元の端末で完結するため、操作ボタンや従来型のリモコン、さらに言ってしまえば、ディスプレイでさえネットワークオーディオプレーヤーには必要ありません。さすがにそこまで割り切ったメーカーはなかなか見かけませんが。
再生ソフトとUSB-DACの組み合わせが前提となるPCオーディオと異なり、ネットワークオーディオプレーヤーは内的にそれらの機能を統合しているので、相性問題が生じることも、組み合わせる製品ごとに設定が必要ということもありません。ネットワークに繋いだ瞬間、ユーザーが何もせずとも十全に機能します。
これらのことが意味するのは、そもそもユーザーは実使用時にネットワークオーディオプレーヤーの存在を気にする必要がない、ということです。
オーディオ機器として、ネットワークオーディオプレーヤーは間違いなくネットワークオーディオの主役です。その主役に対してこの扱いはどういうことだ、と思われるかもしれません。しかし、これが現実です。ユーザーの手が触れる機会はアンプや従来のディスクプレーヤーとは比べ物にならないほど少なく、ラックの中での振る舞いは単体パワーアンプに近いとさえ言えます。
むしろ、ユーザーの手が触れる余地をなくせばなくすほど、音と無関係な要素が省かれ、ネットワークオーディオプレーヤーはオーディオ機器として純化されていきます。プレーヤーでありながらコントロールを外部に分離して余計なことは一切せず、純粋に「データ処理としての再生」のみを行う存在。これこそまさに理想のプレーヤーではないでしょうか。
連載目次 |
第1回「まず『音源』ありき」 第2回「タグについて理解しよう」 第3回「コーデックの基礎知識」 第4回「ライブラリを構築する」 第5回「音源の入手方法(1) CDのリッピング」 第6回「音源の入手方法(2) 配信サイトからのダウンロード」 第7回「PCオーディオで楽しむ(1) 基礎知識」 第8回「PCオーディオで楽しむ(2) USB-DACを活用する」 第9回「PCオーディオで楽しむ(3) 色々な再生ソフト」 第10回「PCオーディオで楽しむ(4) オーディオルームとPCの親和性」 第11回「ネットワークオーディオで楽しむ(1) 基礎知識」 第12回「ネットワークオーディオで楽しむ(2) サーバー」 第13回「ネットワークオーディオで楽しむ(3) プレーヤー」 第14回「ネットワークオーディオで楽しむ(4) コントロール」 第15回「様々な再生方法」 |
■純粋に「データ処理としての再生」のみを行う存在こそ理想のプレーヤー
今回取り上げるのは、ネットワークオーディオにおける「プレーヤー」です。第11回と重複する部分もありますがご了承ください。おさらいになりますが、「プレーヤー」とは、サーバーから配信された音源/データを処理し、最終的に音声信号を出力するものを指します。「サーバー」同様、「プレーヤー」もあくまで「役割」だと言えます。この役割を担う機器としては、いわゆるネットワークオーディオプレーヤーや、同機能を備えたAVアンプ等が該当します。
ただ、プレーヤーはPCオーディオのように1つのPCの中で複数の再生ソフトが走る余地はなく、ソフトとの組み合わせによって挙動を変えるということがありません。そのため、役割である「プレーヤー」は機器である「ネットワークオーディオプレーヤー」と完全に一体化しています。AVアンプ等は「アンプ一体型ネットワークオーディオプレーヤー」と考えればわかりやすいでしょう。
これを「オーディオ機器として完成されている」と見るか、それとも「自由度がない」と見るかは人それぞれです。「私は音楽を聴きたいのであってPCいじりをしたいのではない」というユーザーには歓迎されるでしょうし、「ユーザーが介入できる領域の広さ」という点にネットオーディオの魅力を見出しているユーザーには物足りないと思われても仕方がありません。
さて、プレーヤーの役割はずばり「音源の再生」、それも「データ処理としての再生」です。「ライブラリの閲覧・選曲を含む音楽再生のコントロール」がプレーヤーから独立しているため、ネットワークオーディオにおけるプレーヤーは非常に受動的な存在だと言えます。
音楽を聴く際、ユーザーはネットワークオーディオプレーヤーを見る必要も触る必要もありません。音楽再生のコントロールのすべてが情報の表示を含めて手元の端末で完結するため、操作ボタンや従来型のリモコン、さらに言ってしまえば、ディスプレイでさえネットワークオーディオプレーヤーには必要ありません。さすがにそこまで割り切ったメーカーはなかなか見かけませんが。
再生ソフトとUSB-DACの組み合わせが前提となるPCオーディオと異なり、ネットワークオーディオプレーヤーは内的にそれらの機能を統合しているので、相性問題が生じることも、組み合わせる製品ごとに設定が必要ということもありません。ネットワークに繋いだ瞬間、ユーザーが何もせずとも十全に機能します。
これらのことが意味するのは、そもそもユーザーは実使用時にネットワークオーディオプレーヤーの存在を気にする必要がない、ということです。
オーディオ機器として、ネットワークオーディオプレーヤーは間違いなくネットワークオーディオの主役です。その主役に対してこの扱いはどういうことだ、と思われるかもしれません。しかし、これが現実です。ユーザーの手が触れる機会はアンプや従来のディスクプレーヤーとは比べ物にならないほど少なく、ラックの中での振る舞いは単体パワーアンプに近いとさえ言えます。
むしろ、ユーザーの手が触れる余地をなくせばなくすほど、音と無関係な要素が省かれ、ネットワークオーディオプレーヤーはオーディオ機器として純化されていきます。プレーヤーでありながらコントロールを外部に分離して余計なことは一切せず、純粋に「データ処理としての再生」のみを行う存在。これこそまさに理想のプレーヤーではないでしょうか。