HOME > レビュー > 音楽ファンのための “ネットオーディオ” 完全ガイド【第11回】「ネットワークオーディオで楽しむ(1) 基礎知識」

ネットワークオーディオを構成する3つの要素とは?

音楽ファンのための “ネットオーディオ” 完全ガイド【第11回】「ネットワークオーディオで楽しむ(1) 基礎知識」

公開日 2015/04/28 13:49 逆木 一
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
「サーバー」とは、音源のデータを保存(ストレージ)してライブラリとし、プレーヤーに配信する機能を持つものを指します。この役割を担う機器としては、NASやPCが該当します。DLNAにおけるデバイスクラスとしてはDMS(Digital Media Server)に相当します。

「プレーヤー」とは、サーバーから配信された音源/データを処理し、最終的に音声信号を出力するものを指します。この役割を担う機器としては、いわゆるネットワークオーディオプレーヤーや、同機能を備えたAVアンプ等が該当します。多くのプレーヤーは本体で音楽再生のコントロールが可能であり、DLNAにおけるデバイスクラスとしてはDMP(Digital Media Player)に相当します。

しかし、後述する理由からネットワークオーディオにおいてプレーヤー本体でコントロールまで担うことは現実的ではありません。そのため、コントロールは独立させ、プレーヤー本体は純粋に「データ処理としての再生機能」のみを担うDMR(Digital Media Renderer)として使うのが基本です。

「コントロール」とは、サーバーが提示するライブラリを閲覧し、聴きたい曲を選び、再生する・停止する・スキップする・シークするといった、実際に音楽を再生する際の操作そのものを指します。スマホやタブレットにコントロールアプリをインストールしたものが、サーバーとプレーヤー双方に指示を出すコントローラーとして機能します。DLNAにおけるデバイスクラスとしてはDMC(Digital Media Controller)に相当します。DMPから再生機能とコントロール機能を分離独立させたのが先述のDMRとこのDMCになります。

「PCオーディオと比べると難しい」というイメージで語られがちなネットワークオーディオですが、「サーバー」「プレーヤー」「コントロール」の三要素が果たす役割を理解できれば、それほど恐ろしいものではありません。

理解を深めるための比較対象として、ライブラリ統合型の再生ソフトとUSB-DACを用いたPCオーディオのシステムを下図に示します。

こちらは第9回で紹介した「ライブラリ統合型の再生ソフトとUSB-DACで構築したPCオーディオ」。音源の保存と再生はPCが担う。コントロールはPCから独立させ、タブレットやスマートフォンから再生ソフトを直接操作することもできる

PCオーディオでは、最終的なD/A変換はUSB-DACが担うにせよ、音源の保存と再生はともにPCが担うことになります。また、コントロールも基本的に再生ソフトを直接操作する形で行います。

次に、ネットワークオーディオのシステムを下図に示します。

ネットワークオーディオのシステムは、「サーバー」「プレーヤー」「コントロール」の三要素がLANによって接続されている

ネットワークオーディオのシステムは「サーバー」「プレーヤー」「コントロール」の三要素から成り、それらはLANで接続されます。製品によっては「サーバー」と「プレーヤー」が一体化したものもありますが、考え方は変わりません。

ちなみにサーバーとプレーヤーは工夫次第で無線LAN接続も可能ですが、音楽再生時の安定性という点からあまりおすすめしません。

このように、使用する機器そのものではなく「役割」で考えると、ネットワークオーディオとはPCオーディオのシステムの各機能を独立させたものと捉えることもできます。

なお、ネットワークオーディオの文脈でよく目にする「DLNA」や「UPnP」といった単語は、機器同士の接続性や互換性を実現するするためのガイドラインとして理解することができます。

多くの機器・ソフトがDLNA/UPnPに対応・準拠しているため、ユーザーはあまり意識する必要もなく、「機器を買ってきて繋ぐだけで」ネットワークオーディオのシステムを構築できます。無論、それ以前にライブラリを完璧に仕上げておくことが前提となりますが。

次ページネットワークオーディオにおけるコントロールの重要性

前へ 1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE