[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第125回】今年もやります!「春のヘッドフォン祭2015」高橋敦の“超”個人的ベスト5発表!
【第4位】逆に考えるんだ!これはポータブル"にも"使えると…
Astell&Kern「AK380」は現時点で国内価格は未定だが、おそらく40万円とか50万円とか、そういう価格帯になると目されている超超ハイエンドプレーヤーだ。
もちろん、価格に比するだけのスペックや音質を備えてはいる。しかし価格帯が上がれば上がるほど投入コスト=価格に対しての性能の上昇比率は下がるというのは、オーディオでも楽器でも何でもそういうものだ。
例えば1,000円のイヤホンと1万円のイヤホンの音の違いと1万円のイヤホンと10万円のイヤホンの音の違いは、前者の方が大きいと感じる方が多いのではないだろうか。ローコストハイリターンで効率的に音質を向上させる技術はミドルクラスあたりまでで全て投入し終えてしまい、ハイエンド以上ではハイコストローリターンな物量投入等を積み重ねていくしかない。そういうことになりやすいことなどがそうなる理由ではないかと思う。
とはいえ、そのローリターンの積み重ねによる「最後の詰め」こそが大きな意味を持つ場合も多い。ハイエンドや超超ハイエンドには存在意義はある。
…とはいえ、40万円50万円のポータブルプレーヤーが現実的な購入対象に入る方は少ないだろう。しかし注目してほしいのはAK380が備える拡張性、そして今後色々と提供されるという拡張パーツだ。特に注目してほしいのはXLRバランス出力を搭載したドック。
XLRバランス出力はハイエンドオーディオやプロオーディオで一般的に用いられているバランス伝送の入出力だ。これを装備するということは、このモデルとこのドックはその分野での利用を想定しているということになる。
つまりこのモデルというかシステムには、「ポータブルとしてだけなら考えにくい価格だけれどポータブルとしても使えるドッキング型ハイエンド据置機と考えればありな価格」という狙いもあるのではないだろうか。ポータブルとしてはぶっちぎりに高いが、ピュアオーディオの据置ハイエンドプレーヤーというジャンルで見ればそんな無茶な価格ではない。しかも「ポータブルとしても」使えるというおまけ付きだ(…いやおまけって)。
純粋な戦闘機としてのコアファイターの性能はその価格に見合ったものではないだろう。しかしガンダムやその他RXシリーズ、アーマーにブースターといったシステム全体のコアとしてのコアファイターと考えれば、その評価は全く違ったものになる。AK380はユーザーに新たな視点というか、新しい形のシステム構築を提示するアイテムなのかもしれない…