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野村ケンジが実力チェック

人気モデル上位機がついにデビュー! ティアック「UD-503」ファーストインプレッション

公開日 2015/06/08 10:30 野村ケンジ
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このように、かなり多機能な「UD-503」だが、もちろん音質にもいっさいの妥協がない。「UD-501」で採用された、デュアルモノラル回路構成はそのままに、基板設計からパーツ選びまで、細部にわたってリファイン。

デュアルモノラル構成を引き続き採用した

3点支持のピンポイントフットも本機の特徴だ

さらに、音質の要となるDACはAKM製の新モデル「AK4490」へと変更。384kHz/32bitのリニアPCMに加え、新たにDSD11.2MHzのDSD音源にも対応。同時に、周波数特性などの基礎体力面も向上させている。

DACはAKMの「AK4490」を搭載した

もうひとつ、嬉しいトピックがある。それは、外部クロック入力に対応したことだ。10MHzの外部マスタークロックと接続することで、さらなる音質向上が見込めるのだ。

背面端子部。外部クロック入力が行える用になった

このように、かなり多機能な製品へと生まれ変わった「UD-503」だが、果たして、肝心のサウンドはいかがなモノだろう。そのクオリティをチェックすべく、スピーカーとヘッドホンの両方で試聴を行ってみた。まずはヘッドホン出力から。6.3mmステレオプラグ1本、一般的な(アンバランス)接続から始めよう。

押し出し感の強い、芯のあるサウンド。エレキベースが普段よりもパワフルな演奏に聴こえるため、ノリのよいグルーブ感が楽しめる。こういった傾向は、リファレンス501シリーズ、いやティアック製デスクトップシリーズ全般に感じられるキャラクターだが、ダイナミックレンジがかなり広がっているのか、メリハリのニュアンスがハッキリと感じられる。「HA-501」ほどのピュアさはないものの、解像度感、ダイナミックレンジの幅広さに関しては、「UD-501」とは別物だ。

続いて、バランス出力を試してみる。聴き始めてすぐに、思わず感嘆の声を漏らしてしまった。これはすごい。パワフルなのにキメ細やかなサウンドでフィールド全体が満ちていて、まるで音の粒子が物理的な質量を持っていて、それが次々と身体にぶつかってくるかのよう。

素晴らしくエネルギー感が高く、演奏しているスタジオやライブハウスの電圧が変わったかのように、ギターアンプやマイクの音がぶ厚く、印象的に聴こえる。それでいて、音のキレも鋭く、低域のフォーカス感もかなり高い。おかげで、演奏のノリがとてもよく、音楽の楽しさをとことん満喫できる。

TEAC HCLD回路の搭載も見所のひとつだ

いっぽうで、ヴォーカルの表現もなかなかのモノ。ティアックらしいというべきか、ややドライな印象は変わらないものの、断然パワフルな歌声を楽しませてくれる。アンバランスも悪くないが、オススメは断然バランスだ。

ちなみに、アクティブグラウンドも試してみたが、こちらはバランス出力に比べると気持ちおとなしい傾向。強烈な押し出し感が影を潜め、その代わりに、セパレーションやSN感の良さが際立ってくる。オンイヤータイプのヘッドホンやカスタムIEMなど、感度の高い製品の場合は、こちらの方が良好なバランスを示すかもしれない。

続いて、スピーカー出力を試してみる。同じリファレンス501シリーズのプリメインアンプ「AX-501」を、XLR端子によって「UD-503」とバランス接続して試聴してみたところ、明らかに「UD-501」とは異なる、良質なS/N感を持つサウンドがあふれ出てきた。

もともとキレのよいダイナミックな抑揚表現を得意とする「AX-501」だが、これに「UD-503」格別のS/N感が組み合わさることで、大きな広がり感を持つサウンドフィールドが登場、ライブ音源などを聴くと、自分も会場にいるかのような錯覚をおぼえる。これは楽しい。

この他にも、PCMで4種類、DSDで2種類のフィルターがチョイスできたり、アップコンバート機能があったりと、積極的に音色傾向を調節できるのも嬉しいところ。何よりも、音の要となるDACが変わっても、ティアックらしいキレのよいサウンドは健在で、正常進化的なニュアンスでクオリティアップしてくれたのは素晴らしい。とても優秀な、太鼓判でオススメできる製品だ。

(野村ケンジ)

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