[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第127回】急な入院! 高橋敦が咄嗟に選んだ「入院イヤホン」
■入院イヤホンとしてのDM100の実力とは?
結果、瞬間的にこのモデルを入院イヤホンとして選んだ僕の判断は正しかったと言える。入院イヤホンとしての実際の利用シーンに即して確認していこう。
僕が入院時にイヤホンを持ち込んだいちばんの目的は、実は音楽ではなくラジオの聴取だった。そしてその際のこのモデルは、ダイナミック型らしく自然な中域とBA型にも近い細やかな高域で、人の声が痩せず尖らず聞きやすかったことが好印象。
超A&G+にせよradikoにせよ、音声データは圧縮されており高域の歪みやノイズはあるので、このモデルのようにちゃんとしたイヤホンだとそういう耳障りな成分までしっかり再生してしまう面もある。しかしそれを差し引いても、声の心地よさという強みの方が大きい。
あと音漏れ云々の話だが、iPhone 6の音量設定で目盛り1個から4個くらいだと、そもそもイヤホンを耳に入れずに放り出しておいても音はほとんど聞こえてこない感じなので、問題なかったと思う。少なくとも苦情はなかった。幸運にも隣のベッドは空きだったし。
ちなみにラジオ聴取時は看護師さんからの声などを聞き逃さないように、また横向きで寝ると枕に当たる下の側は耳に押し付けられて痛くなりがちなので、上(天井側)の片耳で聴いていた。この際にはiPhoneのアクセサシビリティ設定に用意されている、全ての音声をモノラルで再生する機能が役立った。
音楽再生時は普通に両耳に装着して普通にステレオ。音量もラジオ聴取時よりは少し上げて聴いていた。といっても疲れないように普段の半分未満の音量にはしていたが。聴き込みたいわけではなく何となく音楽が流れてきてくれていればよかったので。
そして装着感、着け外しのしやすさも全く問題なかった。もちろん他にさらに高い装着感を持つモデルもある。例えばゼンハイザーの「CX 1.00」は超小型筐体で装着感抜群というか装着感が希薄なほどだ。そして5000円前後のモデルとしてはトップクラスの音質も備えている。入院イヤホンとしての高い資質を感じるモデルだ。
とはいえ今回は「いま自宅にあるモデルから瞬間的に選び出す!」という状況だったので、その中では装着感の面でもDM100はベストな選択のひとつだったと言える。
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