HOME > レビュー > デノン「DCD-50」徹底試聴 - 大ヒットプリメイン「PMA-50」を“補完”するCDプレーヤー

単体試聴からスピーカー組み合わせまで検証

デノン「DCD-50」徹底試聴 - 大ヒットプリメイン「PMA-50」を“補完”するCDプレーヤー

公開日 2015/08/28 11:38 村井裕弥
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
デノン「DCD-50」は、大ヒットモデルとなったDDFA搭載プリメインアンプ「PMA-50」との組み合わせが想定されたCDプレーヤーだ。村井裕弥氏がDCD-50とPMA-50の純正コンビの音質をレビュー。さらには人気スピーカーを組み合わせてのマッチングも検証していく。

CDプレーヤー「DCD-50」とDAC内蔵プリメインアンプ「PMA-50」(左)

大ヒット「PMA-50」にベストマッチのCDプレーヤー「DCD-50」

何年か後に「2015年って、どういう年だったっけ?」と仲間から訊かれたら、「デノンのPMA-50が大ヒットした年ですよ」と答えたい。PMA-50は2015年1月発売だが、発表直後からまずはヘッドホンファンも巻き込んで大きな話題となり、発売直後には「買いたいけど、どこも予約で一杯」という声もネット上を飛び交った。

小型で音が良く、C/Pも驚異的。そして192kHz/24bitまでのPCMと5.6MHzまでのDSDに対応したUSB入力を搭載する。それに加え、2系統の光デジタル入力、1系統の同軸デジタル入力、果てはアナログ入力まで付いているのだから「この仕様だと使い勝手が悪い」という人を探す方が至難のワザ。よく多機能とクオリティを天秤に載せる人がいるが、そんなことで悩む必要のない稀有なヒット作なのだ。

そんなPMA-50でCD音源を再生するには、多くのユーザーはパソコンを使ってデータをリッピングし、USB入力からそのデータを再生していると思われる。もちろん、リッピングせずパソコンでリアルタイム再生することは可能だし、CDトランスポートやユニバーサルプレーヤー、ブルーレイディスクレコーダーとデジタル接続して再生することもできる。

「DCD-50」\50,000(税抜)

しかし「小型機だけを組み合わせて、ルックス・操作性・音質に優れたコンパクトなシステムを構築したい」とか「オーディオにパソコンを使うのはNG」という方も少なくないはずだ。そういう方に必要となるのが、今回取り上げるCDプレーヤー「DCD-50」だ。

サイズは、PMA-50とまるで同じ(あえていうなら、PMA-50のボリュームノブにあたるものがないだけ)。PMA-50で目を引いた3ミリ厚のアルミ板もそのまま採用されている。縦置き・横置き両対応の点も同様で、置き方によって、ディスプレイが90度回転するところもPMA-50と同じだ。

DCD-50はPMA-50と同様に縦置きも可能だ。表示も合わせて回転する

DCD-50の背面端子部

デジタル入力を備えたPMA-50とのコンビを想定して作られた製品だから、D/Aコンバーターを内蔵しないCDトランスポートになるのではと予想したが、DCD-50は192kHz/32bit対応DACを搭載。ドライブメカも新開発のスロットインCDメカニズムを採用するなど、PMA-50に劣らぬ力の入れようとなっている。

もちろん同軸/光のデジタル出力も搭載。PMA-50とデジタル接続すれば、PMA-50でAdvanced AL32 Processing処理を行って、CDの16bit信号を32bit精度にアップコンバートおよびアップサンプリングして再生することが可能だ。デジタル変換の過程で失われたアナログ信号の波形を再現することで、CDもより原音に近いクオリティで再生することができるのだ。

実力派スピーカー3機種と組み合わせてDCD-50+PMA-50の実力を検証

さて今回の主役であるDCD-50の音質チェックだが、実際の使用ケースは純正コンビが多いだろうことを想定してPMA-50を組み合わせ、まずは「DCD-50+PMA-50」のシステムトータルで試聴を行った。さらに、このコンビに組み合わせが予想される10万円台のスピーカーシステム3機種を鳴らしてみた。なお、DCD-50とPMA-50は同軸デジタルで接続。試聴は音元出版の試聴室でおこなった。

試聴を行う村井氏

まずは、DALIの「MENTOR MENUET SE」を組み合わせて試聴した。本機はコンパクトなブックシェルフ型スピーカーで、独自のウッドファイバーコーン・ウーファーと、軽量化およびマグネット強化で駆動力をアップさせたソフトドームトゥイーターの2ウェイ構成だ。

DALI「MENTOR MENUET SE」¥168,000(ペア/税抜)

ニューヨーク・スタインウェイのヴィンテージを弾いたショパンから聴き始めるが、このCDがこんなにも軽やかに鳴るのは珍しい。一方で楽器固有の音色は正確に再生される。下から上まで音色が統一されているのも好印象だ。生半可な装置では聞こえにくいピアニストのひそやかな嗚咽が聞こえるあたりも嬉しい。

ヴァイオリンは、やや太めにゆったりと鳴る。もっと神経質に鳴ることの多いCDだが、美音とたっぷりした間接音が迫る。それでいて、フォーカスが甘くなることはない。このあたりはPMA-50のAL32 Processningによるところも大きいだろう。フルオケはよい意味での艶消し。この渋さと味わい深さは貴重だ。ジャズ・ベースも軽やかかつ豪快だが、それでいて味は濃い。サックスは中重量級。トランペットやソプラノサックスの高音が伸びきるのも快感! 女性ヴォーカルは声が伸びやかで、まとまりの良さも特筆ものだった。

次ページ次はB&W「CM1 S2」、ELAC「BS192」を組み合わせて試聴

1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE