藤岡誠のオーディオワンショット<第9回>
MCカートリッジ出力のバランス伝送への誘い<その6>「藤岡誠推薦の組み合わせ例を紹介」
■藤岡誠推薦! 組合せ例とそのバリエーションを紹介
『MCカートリッジ出力のバランス伝送・昇圧(増幅)方式へのお誘い』の最後に組合せ例を提案することにしよう。
まず、プレーヤーシステムだが、手持ちの現用機を何らかの方法でMCカートリッジ出力のバランス伝送・昇圧(増幅)方式に対応可能あればそれに越したことはない。ここでは象徴的にラックスマンの「PD-171A」¥495,000(税別)を選定している。付属アームのフォノケーブルを、サエクの5PIN・DIN→XLR型「SCX-5000」¥58,000(税別)に差し換え交換すればいい。カートリッジは現用品でOKだ。
プリアンプは前記のフェーズメーション「CA-1000」を用いる。入力側と出力側には自社開発のトランスを採用。別売の専用追加電源「PS-1000」¥320,000(税別)を加えれば、電源・整流回路から完璧に左右ch独立となる。これは理想主義、完璧主義の方々には大いなる魅力であろう。勿論、現用プリアンプを活用したい方は、同社の真空管回路方式バランス伝送・昇圧対応のフォノEQアンプ「EA-1000」¥900,000(税別)と組合せるのも面白い。
パワーアンプは、現用機をそのまま継続使用するのもいいが、徹底したモノブロック思想を訴求したCA-1000のコンセプトを素直に進展させようという意図があるならば、パワーアンプもモノブロック型が理想であることはいうまでもない。ここでは贅沢をしてアキュフェーズ「A-200」¥1,250,000(税別・1台)を組合せる。これは純A級動作のモノブロック型で出力は8Ω=100W、4Ω=200Wを発生する。いささか贅沢過ぎるということなら、やはり純A級動作のステレオ型「A-70」¥1,100,000(税別)も良品。これの出力は8Ω=60W/ch、4Ω=120W/chである。
音の出口のスピーカーシステムは、現用システムをそのまま響かせるのもいいが、MCカートリッジ出力のバランス伝送・昇圧(増幅)方式の凄さは音質・音調・SN比ばかりではなく、空間再現現の素晴らしさにある。例えば、スタジオ録音とホール録音の質的な相違は“一聴瞭然”だ。これは大袈裟ではない。この素晴らしい特質をリアルに聴き感じるには、やはり高度な能力を持ったスピーカーシステムの使用が望ましい。
私としては、TADの3ウェイ・トールボーイ型「TAD-E1」¥1,050,000(税別・1台)をお薦めする。ユニット構成は、18cm口径のウーファー×2と超広帯域(250Hz〜100kHz)能力を持つ同軸2ウェイの“CSTドライバー”の組合せ。キャビネットは堅牢そのもので底部にダクトを配置したバスレフ方式である。「もっと小型がいい」という場合は昨年11月に発売されたブックシェルフ型「TAD-CE1」¥800,000(税別・1台)が素晴らしい。これのユニット構成は“E1”と同一だが、キャビネットはまったく新しい発想と設計が成され、空間再現性のリアルさは“E1”に優るとも劣らない。大きさや形態からいって別売の専用スタンド「TAD-ST2」¥180,000(税別・ペア)を使ってセッティングするのがベストだと思う。なお、この両機の詳細はTADLのHPなどを参照。
プリアンプからパワーアンプへの信号伝送ケーブルはサエクの新製品「XR-6000」¥112,000(税別・0.7m/ペア)を必要長で使用する。これは同社のバランス伝送用インターコネクトケーブルの最高峰。勿論、PC-Triple C導体が採用され導体面積は大きく、低域の伸張や分解能は特に優れる。スピーカーケーブルはスープラ「SWORD M6」¥96,000(税別・1.5m/ペア)を採用。広帯域で帯域内に固有のキャラクターがない。資金がたっぷりある人は、このケーブルで最初からバイワイヤ接続を実行するのが理想であることはいうまでもない。その際、プラス(+)とマイナス(−)を絶対に間違えてはならない!
以上の組合せは、MCカートリッジを愛用し徹底して高度なアナログレコード再生を目指す人たちには参考になるはずだ。そして、手持ちのMCカートリッジや大切に保存しているレコード盤を改めて聴きなおすことになり、必ずや今まで経験したことのない空間竿現姓などの新しい発見があるはずだ。MCカートリッジ出力のバランス伝送・昇圧(増幅)方式にはそれだけの秘められた能力がある。昨今のPCオーディオやネットワークオーディオの類よりも遥かに金は掛かるが、アナログレコードの高音質・高品位再生の今日的追体験として挑戦して頂きたいと思っている。
>>これまでの「MCカートリッジ出力のバランス伝送・昇圧方式への誘い」
<その1>MCカートリッジのバランス伝送・昇圧方式とは?
<その2>MCカートリッジのバランス伝送に必要な機器を紹介
<その3>対応フォノケーブルを試聴
<その4>対応昇圧トランスのお薦め製品
<その5>バランス伝送対応フォノEQアンプを紹介
【筆者プロフィール】
<藤岡 誠>
大学在学中からオーディオ専門誌への執筆をはじめ、50年を越える執筆歴を持つ大ベテラン。低周波から高周波まで、管球アンプからデジタルまで、まさに博覧強記。海外のオーディオショーに毎年足を運び、最新情報をいち早く集めるオーディオ界の「百科事典」的存在である。歯に衣を着せず、見識あふれる評論に多くの支持者を得ている。各種の蘭の他、山野草の栽培も長年に亘る。
『MCカートリッジ出力のバランス伝送・昇圧(増幅)方式へのお誘い』の最後に組合せ例を提案することにしよう。
まず、プレーヤーシステムだが、手持ちの現用機を何らかの方法でMCカートリッジ出力のバランス伝送・昇圧(増幅)方式に対応可能あればそれに越したことはない。ここでは象徴的にラックスマンの「PD-171A」¥495,000(税別)を選定している。付属アームのフォノケーブルを、サエクの5PIN・DIN→XLR型「SCX-5000」¥58,000(税別)に差し換え交換すればいい。カートリッジは現用品でOKだ。
プリアンプは前記のフェーズメーション「CA-1000」を用いる。入力側と出力側には自社開発のトランスを採用。別売の専用追加電源「PS-1000」¥320,000(税別)を加えれば、電源・整流回路から完璧に左右ch独立となる。これは理想主義、完璧主義の方々には大いなる魅力であろう。勿論、現用プリアンプを活用したい方は、同社の真空管回路方式バランス伝送・昇圧対応のフォノEQアンプ「EA-1000」¥900,000(税別)と組合せるのも面白い。
パワーアンプは、現用機をそのまま継続使用するのもいいが、徹底したモノブロック思想を訴求したCA-1000のコンセプトを素直に進展させようという意図があるならば、パワーアンプもモノブロック型が理想であることはいうまでもない。ここでは贅沢をしてアキュフェーズ「A-200」¥1,250,000(税別・1台)を組合せる。これは純A級動作のモノブロック型で出力は8Ω=100W、4Ω=200Wを発生する。いささか贅沢過ぎるということなら、やはり純A級動作のステレオ型「A-70」¥1,100,000(税別)も良品。これの出力は8Ω=60W/ch、4Ω=120W/chである。
音の出口のスピーカーシステムは、現用システムをそのまま響かせるのもいいが、MCカートリッジ出力のバランス伝送・昇圧(増幅)方式の凄さは音質・音調・SN比ばかりではなく、空間再現現の素晴らしさにある。例えば、スタジオ録音とホール録音の質的な相違は“一聴瞭然”だ。これは大袈裟ではない。この素晴らしい特質をリアルに聴き感じるには、やはり高度な能力を持ったスピーカーシステムの使用が望ましい。
私としては、TADの3ウェイ・トールボーイ型「TAD-E1」¥1,050,000(税別・1台)をお薦めする。ユニット構成は、18cm口径のウーファー×2と超広帯域(250Hz〜100kHz)能力を持つ同軸2ウェイの“CSTドライバー”の組合せ。キャビネットは堅牢そのもので底部にダクトを配置したバスレフ方式である。「もっと小型がいい」という場合は昨年11月に発売されたブックシェルフ型「TAD-CE1」¥800,000(税別・1台)が素晴らしい。これのユニット構成は“E1”と同一だが、キャビネットはまったく新しい発想と設計が成され、空間再現性のリアルさは“E1”に優るとも劣らない。大きさや形態からいって別売の専用スタンド「TAD-ST2」¥180,000(税別・ペア)を使ってセッティングするのがベストだと思う。なお、この両機の詳細はTADLのHPなどを参照。
プリアンプからパワーアンプへの信号伝送ケーブルはサエクの新製品「XR-6000」¥112,000(税別・0.7m/ペア)を必要長で使用する。これは同社のバランス伝送用インターコネクトケーブルの最高峰。勿論、PC-Triple C導体が採用され導体面積は大きく、低域の伸張や分解能は特に優れる。スピーカーケーブルはスープラ「SWORD M6」¥96,000(税別・1.5m/ペア)を採用。広帯域で帯域内に固有のキャラクターがない。資金がたっぷりある人は、このケーブルで最初からバイワイヤ接続を実行するのが理想であることはいうまでもない。その際、プラス(+)とマイナス(−)を絶対に間違えてはならない!
以上の組合せは、MCカートリッジを愛用し徹底して高度なアナログレコード再生を目指す人たちには参考になるはずだ。そして、手持ちのMCカートリッジや大切に保存しているレコード盤を改めて聴きなおすことになり、必ずや今まで経験したことのない空間竿現姓などの新しい発見があるはずだ。MCカートリッジ出力のバランス伝送・昇圧(増幅)方式にはそれだけの秘められた能力がある。昨今のPCオーディオやネットワークオーディオの類よりも遥かに金は掛かるが、アナログレコードの高音質・高品位再生の今日的追体験として挑戦して頂きたいと思っている。
>>これまでの「MCカートリッジ出力のバランス伝送・昇圧方式への誘い」
<その1>MCカートリッジのバランス伝送・昇圧方式とは?
<その2>MCカートリッジのバランス伝送に必要な機器を紹介
<その3>対応フォノケーブルを試聴
<その4>対応昇圧トランスのお薦め製品
<その5>バランス伝送対応フォノEQアンプを紹介
【筆者プロフィール】
<藤岡 誠>
大学在学中からオーディオ専門誌への執筆をはじめ、50年を越える執筆歴を持つ大ベテラン。低周波から高周波まで、管球アンプからデジタルまで、まさに博覧強記。海外のオーディオショーに毎年足を運び、最新情報をいち早く集めるオーディオ界の「百科事典」的存在である。歯に衣を着せず、見識あふれる評論に多くの支持者を得ている。各種の蘭の他、山野草の栽培も長年に亘る。