<山本敦のAV進化論 第72回>
【新旧対決】“ウォークマンAシリーズ”はどこが変わった? 機能や音質を比較チェック
【変更点1】ハイレゾ対応の新ノイズキャンセリングイヤホンが付属
大きく変わった点は、本体に付属するイヤホンだ。Aシリーズにはデジタルノイズキャンセリング機能が搭載されており、付属のイヤホンと組み合わせて、本体設定から機能をオンにすることで最大98%のノイズ低減効果がはたらく。アウトドアで音楽を聴く際には、より静かな環境をつくって音楽に耳を澄ませることができる。
ソニーのウォークマンには長らく専用イヤホンとして「MDR-NC31」「MDR-NWNC33」の2機種が用意されていたが、今回はA20シリーズのためにイヤホン「MDR-NW750N」を新規に開発。本体とのカラバリも合わせ込む気合いの入れようだ。型番の末尾にHNが付くモデルにはこのイヤホンがパッケージに同梱されている。
イヤホン本体には新開発の9mm口径ダイナミックドライバーを搭載。再生周波数帯域は高域が40kHzまでをカバーするハイレゾ対応イヤホンだ。ハウジングの左右後方に外部環境音を集音するためのマイクが内蔵されている。端子はウォークマン専用の5極仕様としているので、「iPhone 5s」に挿して音楽を再生すると片側からしか音がきこえない。
なおXperiaとして初めてデジタルノイズキャンセル機能を搭載した「Xperia Z2」に接続してみたところ、音楽は問題なく聴けるのだが、ノイズキャンセリング機能のオン/オフを切り替えても変化はなかった。Xperiaについては同時期発表の「Xperia Z5」が「MDR-NW750N」に対応しているらしい。もしかするとZ4以前の機種については非対応ということなのかもしれない。
ノイズキャンセリング機能は本体のメインメニューから「ノイズキャンセル」を選択して、リストからオン/オフを選ぶ。オンにすることで最大98%のノイズ低減効果が得られるという。またA10シリーズにも採用されていた「環境選択」のモードでは、電車やバスの中、航空機、室内など使う場面に合わせて最適なノイズキャンセリング効果を調節することもできるが、メニューから「フルオートAINC」を選んでおけば、ウォークマンが自動で周りの環境に最適な効果に調節してくれる。
まずはノイズキャンセリング機能の効果が前モデルからどれくらい変わったのか、比較してみた。もともとカナル型イヤホンなのでパッシブでの消音効果そのものも高いのだが、ノイズキャンセリング機能をオンにするとどうなるのだろうか。自宅の室内に除湿器をかけて“ブーン”という騒音を鳴らしている状態で、音楽を再生せずに機能のオン/オフを切り替えてみた。
A20とMDR-NW750Nの組み合わせでは、ノイズキャンセリング効果のかかり具合が非常に自然だ。耳穴をくっと塞ぐようなノイズキャンセリング機能特有のプレッシャーも感じられない。
続いてA10に同梱されているMDR-NWNC33相当のノイズキャンセリング対応イヤホンとの組み合わせを同じ環境で試す。すると、除湿器のノイズはいっそう低減されるようだが、明らかにオン/オフを切り替えた時の違いがわかるほど、耳穴が塞がれるようなプレッシャーを強めに感じる。
さらにA20にA10シリーズの付属イヤホンを組み合わせてみると、この場合も新しいイヤホンであるMDR-NW750Nとの組み合わせよりも、ノイズキャンセリング効果は高まるが、プレッシャーも強めに感じるという結果になった。効果はイヤホンの組み合わせごとにチューニングされているようだ。
なおA20とMDR-NW750Nの組み合わせで、ノイズキャンセリング機能をオンにしながら電車に乗って音楽を聴いてみたが、周囲の騒音はほどよく消音され、ハイレゾ音源の解像感や高域の伸びやかさも失われない自然なリスニング感が得られた。ノイズキャンセリング効果を少し強めにかけたい場合は、「ノイズキャンセル調整」のメニューから細かく±15ステップで増減できる。