<山本敦のAV進化論 第72回>
【新旧対決】“ウォークマンAシリーズ”はどこが変わった? 機能や音質を比較チェック
【変更点2】カラーバリエーションの追加
これについてはPhile-webニュースに実機の画像と詳細が紹介されているので参照して欲しい。ただ内蔵メモリーの容量が増えるとカラバリの展開数が少なくなっていくのが残念だ。microSDカードに加えて内蔵メモリーも最大容量の64GBまで欲しいというユーザーの母数が少ないからなのだろうか。
【変更点3】イコライザー機能がハイレゾ再生時にも適用可能に
A10シリーズでは、ソニーの音もの機能を集めたプリセットである「ClearAudio+」や、各種イコライザーがハイレゾ再生時にはかけられなかった。代わりにイコライザー設定を優先して楽しむために、ハイレゾ音源をダウンサンプリングして聴く「ハイレゾ音響設定」の機能が設けられていたのだが、A20ではハイレゾ再生時にも「ClearAudio+」などが有効にできる。さらにイコライザープリセットの種類も増えた。
試しにハイレゾ再生時に、デフォルト設定ではオフになっている「ClearAudio+」をオンにして効果を試してみたが、低域がかなり増強され、全体的にコントラスト感が鮮やかでダイナミックなサウンドになる。ボーカルや楽器の音にいっそうメリハリが聴いて、輪郭がかなりボールドになる。元の音源が持っている質感が色々な部分で変わってくるので、再生する音楽やリスニング環境に応じて使い分けるのが良いと思う。ちなみにBluetoothワイヤレス再生時には各種イコライザーは効かないようだ。
【変更点4】LDACには出荷時から対応
Bluetoothによるワイヤレス音楽再生をより高音質化するオーディオコーデックであるLDACは出荷時から対応している。なおA10も基幹ソフトウェアのアップデートにより今年の4月からLDAC対応になった。
今回LDAC対応のヘッドホン「MDR-1ABT」を借りて、「SBC(音質優先)」と「LDAC(音質優先)」のモードで音質を聴き比べてみたが、その違いは明らか。LDACで聴くサウンドは音の輪郭がより滑らかで、奥行き再現の懐が深い。ボーカルのハリや透明感にも差が表れる。オーケストラなどのソースは音場の広がり感が左右、高さ方向にもグンと伸びる。
A20シリーズはさらに、もう一つのBluetoothの高音質コーデックである「aptX」もサポートしている。ただ、それぞれを聴き比べながら音楽を楽しみたいところだが、実はその切り替えがあまり簡単には行えない。ヘッドホンやスピーカーなどBluetooth機器をペアリング中の場合はいったん接続を解除した後で、「設定」から「Bluetooth設定」を選び、「ワイヤレス再生品質」のリストにアクセスするといった具合に階層が深く手間がかかる。そしてモードを切り替えた後には、ヘッドホンやスピーカーとペアリングし直しだ。
NFCに対応しているので、ステップは幾分か簡略化されるものの、これでは「ワイヤレス再生をもっといい音で楽しむ方法がある」こと自体を知らないユーザーに、LDACや対応するA20の魅力が強くアピールできないのではないだろうか?
そもそもソニーは、オーディオにあまり詳しくない音楽ファンにも「いい音を聴く喜び」を伝えたいのであれば、明らかにメリットの大きいワイヤレス再生の高音質化技術であるLDACをもっと前面に打ち出して、強烈に伝えた方がいいのではないか。例えばウォークマンの場合、トップメニューにデジタルノイズキャンセル機能をアイコンで単独配置しているように、いっそLDACもアイコン化して、存在をアピールしながら簡単にオン/オフできるようにして欲しい。現状のように、こんなに設定メニューの奥底にあるようでは、知っている人でないと見つけられない。