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【特別企画】「並み居る4Kテレビの先頭に立つ製品」

「レグザ Z20X」を大橋伸太郎が徹底解説。“レグザ史上最高画質”実現の背景とは?

公開日 2015/11/10 11:56 大橋伸太郎
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レグザはすでに「Z9X」に700nitという非常に明るいパネルを搭載したが、今回の「Z20X」ではピーク輝度1,000nitオーバー、全白表示の数値が約800nitに達した。バックライトを512分割で駆動するセルレグザ「55X1」はピーク輝度が1,250nitだったが全白がほぼ500nitと想定されるから、「Z20X」はセルレグザに実力で勝るといっていい。ちなみに他社の今期4Kテレビはピーク輝度/全白ともほぼ500nitと想定されるからZ20Xが桁外れにパワフルだ。

視聴のようす

広色域という点でも「Z20X」は現時点の4Kテレビ中最高水準にある。4K放送とUltra HD BDの標準規格BT.2020を約80%クリアした。前機種の「Z10X」で約76%、他社製品概ね70%台前半に止まることから、現時点で傑出しているといえよう。

興味深いのは「Z20X」がグレアパネルを採用したことだ。現在主流のノングレア/ハーフグレアパネルと一長一短だが、画質に優れるクリアガラスをあえて選んだ。

ハイコントラストブラックパネルで従来より黒の表現力が向上

ノングレア(ハーフグレア)は一種の磨りガラスなので、映像が出光時に表面で乱反射してディテールに滲みが生まれる。そのためフォーカス性能やコントラスト、ことに黒表現も劣化する。こうしたデメリットを嫌い、「Z20X」はグレアパネルをあえて選択したわけだ。グレアパネルで気になる外光や視聴者の影の映り込みにはARコートで対策を施した。なお、クリアガラスの方が製造プロセスが多く製造原価が高いというが、節目の製品だけに敢えて販売面の不利を負っても画質上の妥協を避けたのだ。

グレアタイプの「ハイコントラストブラックパネル」を採用。表面の凹凸で光の乱反射が起こってしまう従来パネルでの問題をクリアした

■新映像エンジン「4KレグザエンジンHDR PRO」

ただ、パネルがどれだけのポテンシャルを持っていても、ディスプレイの性能はドライブ如何である。そんな輝きの源泉であるバックライト制御を受け持つ新映像エンジンが「4KレグザエンジンHDR PRO」だ。

新映像エンジン「4KレグザエンジンHDR PRO」を搭載

東芝の場合、5年周期で映像エンジンを刷新するのが慣例。通常年はファームウェアの更新で性能を強化していくが、今年は刷新の節目の年に当たる。商品企画担当者の表現では「Z10Xまでの『レグザエンジンCEVO 4K』を使い倒した上での、満を持しての登場」という。

4KレグザエンジンHDR PROは二段構成で前段が基礎映像処理を担当、後段が超解像や4K広色域復元等大部分の高画質化を担当する。前段回路は「4KレグザエンジンHDR」を引き継ぎ今回後段が刷新された。本機の回路設計上の最大の見所である「直下型LEDハイブリッドエリアコントロール」もこの後段が担当する。さてこの「ハイブリッド」は何を意味するのか。

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