【レポート】ロジテックから登場、iPhone直結小型ポタアン「LHP-AHR192/CHR192」を読者が体験！

■ハイレゾ対応しただけではない。音質を高めるこだわりも満載

繰り返しになるが、本製品の特徴は、Lightningパスパワー駆動でありながら、省電力設計によって、最大192kHz/24bitのハイレゾ音源再生が可能なこと。さらにスペックを満たすだけでなく、音質も高めたことだ。それを成し遂げたのは、デバイスの選定と回路設計への徹底的なこだわりだった。

まずデバイスでは、USBオーディオインターフェースに、高速でかつ低消費電力なSavitec社製「SV9123」を搭載。またDACにはAKMのAK4430を採用した。大場氏は「どちらも省電力で、これがバスパワー駆動で192kHz/24bit再生を可能とすることにつながりました」と説明した。

音質を高めるこだわりは大きく2点。大場氏は「非常にコンパクトな基板にデジタルインターフェースとアナログ回路が共存するため、ノイズの影響をうけない、徹底した低インピーダンス設計が重要となる」と解説。今回の製品では4層基板を用い、全面グランドを採用することでデジタルノイズを徹底的に低減したという。さらに「電源系も低インピーダンス化し、ヘッドホンアンプの出力を高め、ドライブ能力も高めました」と説明する。

出力は30mW+30mWと大きく、多くのイヤホンやヘッドホンを駆動可能。バスパワーで駆動するとiPhoneのバッテリーの減りが早くなるのでは、という心配をする方もいるかもしれないが、「それを起こさない規定をクリアしているのがMFiです。MFi基準内の電力で動作するため、iPhoneの電力を大きく消耗することはありません」とアピールする。

筐体はアルミ製で、高い剛性と精度によって品質を高めた。これも本機の音質向上に大きく寄与している。1個1個CNCで削り出しが行われているため、生産は1日500個が限界だという。

操作性の面では、本体に音量調節/選曲操作などが可能なリモコンを搭載していることや、360度自由な角度で装着できるクリップを備えていることも大場氏は特徴として説明した。

さらにエレコムは、新製品の発売に合わせてハイレゾ再生アプリ「ELECOM Hi-Res Music Player」を制作し、無償配布を開始した。同アプリは、ハイレゾをよりハードル低く体験できるようにすることを狙いとして開発されたという。

■Lightning直結の使い勝手とは？ イベント参加者に直撃

大場氏による説明の後は、その実力を実際に体験できる試聴パートへ移った。参加者には各自が持ち込んだiOS機器から自由な選曲で試聴をしてもらった。本パートでは貴重な生の声を聞くことができた。

参加者が共通して魅力的な点として挙げていたのは、コンパクトサイズとハイレゾ対応や大出力といった、本機の仕様に対する価格設定。つまりはコストパフォーマンスの高さで、これを絶賛する声が目立った。「1万円台前半でiPhoneがハイレゾ対応になるんですよね。これはすごく魅力的です」。

さらにバスパワー駆動であることも「接続が非常にラクですし、充電が不要なのもすごくいいですね」と非常に好評だった。

リモコン部分については、「快適な操作性」だという声が大勢を占める中、リモコン機能を省くなどして、さらにコンパクトな設計にできないかという意見も出た。

これに対してロジテック（株） 開発部 AV課 マネージャー　遠藤稔也氏は「実はリモコンをなくしても、あまり大きさは変わらないんです。音質や性能を考えると基板の大きさがこの程度になるので、それならリモコンも付けて利便性をさらに高めようと考えました」と説明した。

さらに遠藤氏は「サイズは確かに重要と我々も認識しており、より小さいものも試作しましたが、音質があまり良くなかったのです。小さくすると部品を詰め込まないといけなくなり、面積が取れないため、インピーダンスが上がってしまうことが原因です」と解説し、音質とサイズのバランスを考慮した設計であると語った。