一条真人の体当たり実験室
「4Kスマホ」と普通のスマホは肉眼で判別できるのか? あの男が体当たり検証!
小野が口を開き、ゆっくりと回答を告げる。
「なんと…。一条さん、全問正解です…」。
その言葉を聞くやいなや、一条氏の体が躍動した。「マジですか! やった! やりましたよ!」と喜びが爆発。これまで見てきた一条氏のサムズアップの中でも、最高レベルにドヤってるサムズアップが編集部員に突き付けられる。なぜか無性に腹が立ってくる。
一方、我々編集部は「これ、別の意味で記事化できないかも…」とショックを隠せない。遠くからはさすがに判別できないが、近づいていったら分かったというストーリーを想定していたのだが…。視力0.7の人が、3mの距離から4Kスマホを当ててしまうというのは予想外だった。
では、単なる偶然なのだろうか。4回連続で2択を当てる確率は16分の1なので、ありえないことではない。ということで、編集部・風間も1mくらいの距離から挑戦してみた。
すると、わかるのだ、これが。明らかに画質の差を感じる。「最初の方が4Kですよね」と言うと、やはり当たっていた。
一条氏がドヤ顔で解説する。「50cmの距離でも、解像感の違いははっきり言ってよく分かりません。で、おれ的に、2つのポイントに注目したんです」。
そのポイントとは、まず色域の広さ。「片方が明らかに色域が広く、特に赤の発色が全く違っていました。これは3m先からでもわかりました」。もう一つは全体の立体感。「感覚的な話ですが、片方が比較的のっぺりしているのに対して、もう片方は奥行き感がありました」。
同感だ。フルHDディスプレイを至近距離で見ても、ドット感はほとんど感じられない。これ以上解像度が上がっても違いを感じにくく、そのため精細度だけで2つのディスプレイを見分けることは相当に難しいだろう。一方、色再現性については、一条氏の解説通り「Xperia Z5 Premium」の色域が明らかに広く、一目で見てわかる違いがある。
両モデルは、ともにLive Color LEDを搭載した「トリルミナスディスプレイ for mobile」を採用している。だが、Xperia Z5に比べてXperia Z5 Premiumのほうが、明らかに色再現性能が高い。あらかじめ彩度も調整し、色域の差をわかりにくくしておけばよかったが、後の祭りだ。
とはいえ、色域の広さと解像度に、直接の関係はないはず。色の再現能力を決めるのはLEDバックライトやフィルター、パネル表面処理などの要素が大きい。今回はたまたま解像度の高さと色域の広さが一致したのでよかったが、全問外れる可能性もあったわけだ。
もう一つのポイントとして一条氏が挙げた「奥行き感」は、感覚的な言葉で一般化が難しいが、解像度が高まることでディテールが見通せるようになった結果と考えられなくもない。ともあれ、4Kだからかどうかは結論づけられないが、Xperia Z5 Premiumの画質の良さは、遠くからでもしっかり判別できたことになる。
ハイレゾの聞き分けより難しいだろうと想定していた、今回の4Kディスプレイの識別テストだったが、一条氏は見事にクリアしてしまった。色域の差に気づいたというのが大きかったが、あらためて、人間の底知れない能力に驚かされた。これで一条氏が調子に乗りすぎないか、若干心配である。