<山本敦のAV進化論 第79回>
話題の「バーチャル・リアリティ」を体験! サムスン「Gear VR」でNetflixや初音ミクを鑑賞
バッテリーの減り具合については、Galaxyの内蔵バッテリーのコンディションや視聴するコンテンツにも依存するので、今回シビアな検証はしていない。参考までに、シューティング系のVRゲームを約10分間遊んで、Galaxyのバッテリーゲージがだいたい4%減った。ゆったりとコンテンツを楽しむのなら、Galaxyに電源を常時供給できる状態にしておく方がベターだ。
Gear VR本体にはGalaxyのバッテリーを使用して電源を供給するので、別途充電する必要はない。Gear VRの充電ポートに2AのUSB充電器を接続した状態で、Galaxyにバッテリーが供給される仕組みとなっている。
充電器を接続した状態で1A以上の電力を多く使用するコンテンツを楽しむ際には、Gear VRとGalaxy両方のバッテリーが使用されるが、いずれにせよVRコンテンツを長時間楽しむならUSB経由の電源接続はマストだ。
ただし動きを伴うゲームをプレイする際にはケーブルがつながっていると動きづらいのも確かで、場面に応じて使い分けたい。充電器が接続されていて、Gear VRが使用されていない場合には、接続されているGalaxyの内蔵バッテリーが充電される。
■様々なパートナーとのコラボで広がるVRコンテンツ
今後もGear VRで楽しめるコンテンツは、SDKのプラットフォームとツールを提供するOculusの管理のもと、次々と増えていくはずだ。また新たな展開として、リコー「THETA S」で撮影した360度全天球動画・静止画をFacebookへ簡単に投稿できるサービスも始まった。
Gear VRを使用すると、このコンテンツをVRとして視聴できる。アップされているVRコンテンツにGalaxyのFacebookアプリからアクセスし、動画サムネールの左上に表示される「VRで見る」メニューをタップすればよい。
前提としてTHETA Sを所有している必要はあるが、これからはプロの作り込んだコンテンツだけでなく、一般ユーザーによる投稿動画や写真もVRの世界を広げる牽引車になっていくだろう。
2016年にはVRヘッドセットの本家であるOculusが「Oculus Rift」を、ソニー・コンピュータエンタテインメントが「PlayStation VR」の発売をそれぞれ予定している。これらがハイエンドPCや据え置き型のゲームコンソールとの組み合わせを前提としているのに対して、「Gear VR」は本体にスマホをドッキングさせてポータブルスタイルで使えるのが大きな特徴だ。
サムスン電子ジャパン(株)マーケティング・コミュニケーション・グループの後藤友宣氏は、今後はGear VRの“身軽さ”を強みとしてアピールしていきたいと語る。
Gear VR向けのコンテンツやサービスのパートナーはいま、国内大手のゲーム系コンテンツベンダーへ着実に広がりつつある。
また三菱地所ホームでは2016年1月から、住宅展示場に出展するモデルハウスにGear VRとタブレットを設置し、VR空間でモデルハウスの様子を疑似体験できるツールを導入することを発表している。このようにVRヘッドセットのBtoB需要も増えていくだろう。
初のコンシューマーモデルとしてステップアップを遂げたGear VRだが、今後はGalaxyのフラグシップモデル以外でも楽しめるようになってほしい。Gearシリーズのスマートウォッチが、“Galaxy専用”から脱皮してからユーザー層が一気に広がったように、Gear VRがブレイクするためのトリガーは対応デバイスの拡大にある。
後藤氏の説明によれば、現時点ではまだGear VRのパフォーマンスを十分に発揮するため、装着する端末に大きなプロセッサーパワーが求められることから、上位機種を中心とした対応になっているのだという。
だが国内で発売されている端末で言えば、「Galaxy Active neo」や「Galaxy A8」などミドルレンジの端末を愛用するユーザーにこそ、身近な価格で購入できVRの世界が手軽に楽しめる本機の魅力が伝わりやすいのではないか。来年以降の技術革新とGear VRのラインナップ拡大にも注目したい。
それにしても、こうしてテキストや平面の写真を並べ尽くしても、Gear VRで楽しめる360度VR空間の魅力をお伝えし切れないことが何とも歯がゆい。できればぜひ店頭のデモンストレーションやイベントなどでGear VRを体験してみてほしい。