<山本敦のAV進化論 第80回>NTTぷららに展望を聞く
ひかりTVの「スマホ向け4K HDR配信」を体験。スマホで4K/HDRは大いにアリ!
「発表直後は手元にXperia Z5 Premiumの実機がなかったので、スペック表のデータだけを見ながら試行錯誤しました。端末の詳細を調べてみたところ、4K周りは、ディスプレイ表示以外は基本的に前機種のXperia Z4と一緒で、MHL経由での4K映像の外部出力機能が付いていました。これをベースにひかりTVの4Kコンテンツが表示できるか試しましたが、最初は全く4Kの画が出ませんでした」。
「最初はデコーダーや無線LAN環境の不備を疑って課題をつぶしてみても、やはりうまく行きませんでした。そこでプレーヤーのログを丁寧に解析してみたところ、Android OSのフレームワーク内の最終段で、メディアコーデックにコンテンツを送り出すプロセスに入った後に再生が止まっているというところまで判明しました」。
「クアルコムに解析を依頼したところ、過剰なビットレートの信号がプロセッサーに入力されているかもしれないという回答を得て、さらに当社で映像のビットレートをフレーム単位で細かく調べてみたところ、フレーム単位でビットレートのピーク値がプロセッサーの限界を超えている箇所が見つかりました。これが4K映像が表示できない原因になっていたのです」。
「そこでプロセッサーが破綻しないよう、エンコードのパラメータ調整を行ってみたところ、無事に映像が表示されるようになりました。問題を解決できたのが、昨年11月17日にサービスを発表した2週間ほど前という、まさにギリギリのタイミングでした」。
現在、ひかりTVどこでものプラットフォーム上で提供されているモバイル向け4K VODコンテンツは、Snapdragon 810を採用したXperia Z5 Premiumでの視聴を前提にエンコードされているが、今後Snapdragon 820を搭載した4K端末が出てくる頃には、おそらく問題なく視聴できるようになるのでは、というのが宮里氏の見解だ。ただ、やはり個別の端末ごとに再生対応の検証は、入念に行う必要があるようだ。
ひかりTVどこでもの4K VODサービスには、1月末から4K HDRのコンテンツが加わる予定。当面はXperia Z5 Premiumが、これを視聴できる唯一のスマホとなりそうだ。
土井氏によれば「HDRはドルビービジョンの技術を採用する方向で検討している」というが、スマホの場合はテレビのようにパネルやバックライトがHDR対応というわけではないので、プリプロセッシング処理で映像を作り込む必要が出てくる。取材を行った2015年12月末時点では、まだドルビービジョンの技術を起点としたモバイル向け4Kサービスの詳しい内容が明らかにされなかったため、また別の機会に追加取材した情報をお届けしたい。
■スマホでも明らかにわかる「4K HDR」の高画質
今回はNTTぷららに4K HDRの視聴環境を用意してもらい、4K HDRの映像をチェックした。テレビはLGエレクトロニクスの「EG9600シリーズ」、スマートフォンはXperia Z5 Premiumだ。