<山本敦のAV進化論 第80回>NTTぷららに展望を聞く
ひかりTVの「スマホ向け4K HDR配信」を体験。スマホで4K/HDRは大いにアリ!
テレビのHDR映像については、HDR非対応のテレビと並べて画質を見比べた。HDRの方は明るさや色の鮮度が段違いにリッチで、隅々までディティールが際だった立体的で奥行き感の豊かな映像が楽しめる。
青空の映像は青空と白い雲の色合いが正しく再現され、雲のピーク部分も破綻することなくディティールがしっかりと再現される。そこに映っている映像そのものは、まさにふだん目で見るリアルな風景に限りなく近づいた印象だ。
スマホで4Kと通常のHD映像を見比べると、違いがはっきりと表れた。ディティールの粒立ちがキリッとしていて、被写体の輪郭の彫りが段違いに深い。
Xperia Z5 Premiumは単体で4K動画を撮って見ることができる端末だが、NTTぷららが製作したオリジナル4K映像など丁寧に作り込まれた4K映像を味わってみると、一段とその良さが鮮明に際立つ。「スマホで4K」は“アリ”という確信を得て、今後の期待感が一気に高まってきた。
ドルビービジョンでエンコードされた4K HDRのプロトタイプ映像と、通常の4K VODの映像を、2台のXperia Z5 Premiumで見比べることもできた。
動物の毛並みはどちらの映像もディティールがきめ細かく立体的に再現されるが、色合いの鮮度や自然なコントラスト感から生まれる映像の説得力については断然4K HDRの方に軍配が上がる。一つの画の中に解像感と明るさ、色合いが正しいかたちで収まっているからだ。表現できる映像のダイナミックレンジが広がったことで、ソースの持つポテンシャルが最大限に活かされる。
なお、ひかりTVのプラットフォームについては、LGの「EG9600シリーズ」で視聴する場合は4K HDR映像の再生が始まるとアラートが表示され、HDRの明るさに切り替わり、設定などUIの画面を開くとまた明るさを落とす仕様になっている。そうしないとUIの画面が異常に明るく表示されてしまうからだ。
スマホは、HDR再生時の画面輝度をどのようにコントロールすればよいのだろうか。土井氏は「4K HDRのコンテンツを再生する際には、画面の明るさをマニュアルで最大値に設定してもらうよう推奨する」方法を検討すると述べている。
NTTぷららでは今後もテレビとモバイルの両輪で4Kを推進し、「ひかりTV=4K」というイメージを一般化していくことに力を注いでいくと、宮里氏は語る。
今後、Snapdragon 820シリーズを搭載する4Kスマホが出てくる頃には、ひかりTVどこでもにおいても、4K/60p対応のコンテンツが視聴できるようになるだろう。
NTTぷららとしても、テレビ向けに提供する4K/60pのVODコンテンツがそのままスマホでも提供できるようになり、運用の効率化にもつながる。だがその際には、4K/30pコンテンツしか見られないXperia Z5 Premiumに向けたコンテンツを、継続的に増やしていくか、判断を迫られることになるかもしれない。
2016年にはXperia Z5 Premiumに続いて、ほかのメーカーからも4K表示対応スマートフォンやタブレットが発売される可能性がある。今回、実際に「ひかりTVどこでも」の4K映像を視聴し、従来のHD/SDの動画サービスを見た時とは違うワンランク上の満足感を得ることができた。
テレビ向けに限らず、これからはモバイル向けのVODコンテンツプロバイダーにとっても、「4K/HDR対応」はひとつの重要な差別化の鍵になることは間違いないだろう。