USB-DACやヘッドホンアンプの音質もチェック
デノン初の“ミドルクラス”ネットワークプレーヤー「DNP-2500NE」をレビュー
デノンの新たな中核Hi-Fiシリーズとして登場した“2500NEシリーズ”。「DNP-2500NE」は、デノンが同価格帯に初めて投入するネットワークプレーヤー/USB-DACだ。DDFAによるフルデジタル・ヘッドホンという斬新なトピックも備えた本機を、山之内 正氏がレビューする。
■複数のデジタルメディアを1台でカバーする“多芸多才”なモデル
デノンの「2500NEシリーズ」は、外見こそ伝統的コンポーネントのたたずまいだが、コンセプトと技術の両面で一歩踏み込み、最新トレンドを先取りして、従来機とは別物に生まれ変わっている。世代を重ねて熟成させてきた定番の「2000/1650」と決別して“2500”と名付けたことからも、格上への移行を狙ったことは明らかだ。
シリーズを構成する3機種のなかで、特に新機軸を明確に打ち出しているのがネットワークプレーヤーの「DNP-2500NE」(関連ニュース)である。NAS、パソコン、USBメモリー、AirPlayなど複数のデジタルメディアを1台でカバーする多芸多才に加え、ヘッドホンアンプをフルデジタル化して音質改善を徹底し、ソースコンポーネントの新たな可能性を開拓したことも注目に値する。この記事ではネットワーク再生とUSB-DACの音に焦点を合わせつつ、デジタル技術を駆使したヘッドホンアンプのパフォーマンスにも注目する。
デノンがこのクラスにネットワークプレーヤーを投入するのは本機が初めてだが、普及価格帯のプレーヤーやAVアンプでネットワーク再生の技術を蓄積しているためか、音質、使い勝手ともに高い完成度を実感することができた。ネットワーク再生における対応ファイル形式についても、5.6MHz DSDと192kHz/24bit PCMまでサポートしており、現在市場に流通するハイレゾ音源の大半をカバーする。操作アプリは従来機同様に「DENON Hi-Fi Remote」を使う。試聴時点では間に合わなかったが、近々リリース予定の最新バージョンは機能が大幅に強化される見込みで、もちろん本機でもその恩恵が期待できる。Wi-Fiの内蔵も歓迎すべきフィーチャーのひとつだ。
■立体的な音場再現が際立ったネットワーク再生の音質
ネットワーク再生の音は、まずは音像のフォーカス精度の高さを強く印象付けられた。ポッジャー&ブレコンバロックの演奏で聴いた『ヴィヴァルディ《調和の幻想》(2.8MHz DSD)』は、ポッジャーの独奏ヴァイオリンがオケの手前にホログラムのように浮かび、両者の立体的な対比は鮮やか極まりない。しかも、弾き始めたときはクリアに分かれて聴こえるのに、余韻は独奏とオケが自然に溶け合って、それぞれの楽器のまわりを柔らかく包み込む。独奏が2人以上の曲ではソロの掛け合いの様子に現実感があり、弓や奏者の身体の動きが目に浮かぶような生々しさがある。テオルボとギターは弾むような発音の良さがあり、チェロの低音は量感を保ちつつ広がりすぎないので、少人数のアンサンブルらしい透明感をたたえている。DSD録音のメリットが大きいとはいえ、それをここまで忠実に引き出し、立体的な音場を再現する能力は特筆していいだろう。
『ジャズ・アット・ザ・ポーンショップ』のハイレゾ音源(192kHz/24bit PCM)は、演奏が始まる前から会場の雰囲気や気配をリアルに再現し、各プレーヤーがどう並んでいるのか、音だけで正確に言い当てられるほど、サウンドステージが立体的に展開した。真中に位置するヴィブラフォンは左右に音が広がるが、マレットが当たった音板の位置を正確に聴き取れるほど音像のフォーカスは鮮明だ。
この録音の長所を引き出すには、ベースが必要以上にふくらまないことが肝心なのだが、DNP-2500NEはその点でも及第点以上の成果を上げた。ピチカートの一音一音が粒立ちよく分離して、速いパッセージのなかの付点音符の切れも良好。この粒立ちが曖昧になったり、付点の切れが足りないと、音符がダラダラとつながってリズムが重くなり、テンポまで遅く感じてしまうのだが、本機で聴くベースは軽快にリズムを刻み、ベーシストのリズム感の良さに感心させられた。
■複数のデジタルメディアを1台でカバーする“多芸多才”なモデル
デノンの「2500NEシリーズ」は、外見こそ伝統的コンポーネントのたたずまいだが、コンセプトと技術の両面で一歩踏み込み、最新トレンドを先取りして、従来機とは別物に生まれ変わっている。世代を重ねて熟成させてきた定番の「2000/1650」と決別して“2500”と名付けたことからも、格上への移行を狙ったことは明らかだ。
シリーズを構成する3機種のなかで、特に新機軸を明確に打ち出しているのがネットワークプレーヤーの「DNP-2500NE」(関連ニュース)である。NAS、パソコン、USBメモリー、AirPlayなど複数のデジタルメディアを1台でカバーする多芸多才に加え、ヘッドホンアンプをフルデジタル化して音質改善を徹底し、ソースコンポーネントの新たな可能性を開拓したことも注目に値する。この記事ではネットワーク再生とUSB-DACの音に焦点を合わせつつ、デジタル技術を駆使したヘッドホンアンプのパフォーマンスにも注目する。
デノンがこのクラスにネットワークプレーヤーを投入するのは本機が初めてだが、普及価格帯のプレーヤーやAVアンプでネットワーク再生の技術を蓄積しているためか、音質、使い勝手ともに高い完成度を実感することができた。ネットワーク再生における対応ファイル形式についても、5.6MHz DSDと192kHz/24bit PCMまでサポートしており、現在市場に流通するハイレゾ音源の大半をカバーする。操作アプリは従来機同様に「DENON Hi-Fi Remote」を使う。試聴時点では間に合わなかったが、近々リリース予定の最新バージョンは機能が大幅に強化される見込みで、もちろん本機でもその恩恵が期待できる。Wi-Fiの内蔵も歓迎すべきフィーチャーのひとつだ。
■立体的な音場再現が際立ったネットワーク再生の音質
ネットワーク再生の音は、まずは音像のフォーカス精度の高さを強く印象付けられた。ポッジャー&ブレコンバロックの演奏で聴いた『ヴィヴァルディ《調和の幻想》(2.8MHz DSD)』は、ポッジャーの独奏ヴァイオリンがオケの手前にホログラムのように浮かび、両者の立体的な対比は鮮やか極まりない。しかも、弾き始めたときはクリアに分かれて聴こえるのに、余韻は独奏とオケが自然に溶け合って、それぞれの楽器のまわりを柔らかく包み込む。独奏が2人以上の曲ではソロの掛け合いの様子に現実感があり、弓や奏者の身体の動きが目に浮かぶような生々しさがある。テオルボとギターは弾むような発音の良さがあり、チェロの低音は量感を保ちつつ広がりすぎないので、少人数のアンサンブルらしい透明感をたたえている。DSD録音のメリットが大きいとはいえ、それをここまで忠実に引き出し、立体的な音場を再現する能力は特筆していいだろう。
『ジャズ・アット・ザ・ポーンショップ』のハイレゾ音源(192kHz/24bit PCM)は、演奏が始まる前から会場の雰囲気や気配をリアルに再現し、各プレーヤーがどう並んでいるのか、音だけで正確に言い当てられるほど、サウンドステージが立体的に展開した。真中に位置するヴィブラフォンは左右に音が広がるが、マレットが当たった音板の位置を正確に聴き取れるほど音像のフォーカスは鮮明だ。
この録音の長所を引き出すには、ベースが必要以上にふくらまないことが肝心なのだが、DNP-2500NEはその点でも及第点以上の成果を上げた。ピチカートの一音一音が粒立ちよく分離して、速いパッセージのなかの付点音符の切れも良好。この粒立ちが曖昧になったり、付点の切れが足りないと、音符がダラダラとつながってリズムが重くなり、テンポまで遅く感じてしまうのだが、本機で聴くベースは軽快にリズムを刻み、ベーシストのリズム感の良さに感心させられた。
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