T1 2nd Genと同様に新ドライバー搭載
ポータブルハイエンドも第2世代に。beyerdynamic「T5p 2nd Generation」レビュー
ティアック(TASCAM)から、独beyerdynamicのテスラドライバー搭載ハイエンドヘッドホン「T5p」第2世代モデル「T5p 2nd Generation」が2月下旬に発売される。T1に引き続いて第2世代機となった本機は、どのようなサウンドを届けてくれるのか。岩井喬が検証する。
beyerdynamicの新たな独自技術、テスラテクノロジーを導入したフラッグシップ機「T1」(2009年)の登場に続き、T1の持つサウンドの魅力を密閉型としてポータブルユースに落とし込んだ「T5p」が2010年に登場した。
セミオープン型であるT1は、音漏れの問題や高いインピーダンス(600Ω)だったこともあり、屋外での使用を前提としていなかった。ユーザーとしてはやはりこの優れたテスラドライバーのサウンドをアウトドアでも存分に楽しみたいと感じていたはずである。
そうした状況はbeyerdynamicでも当初から想定していたようで、比較的早い段階で密閉型モデルとしてT5pが誕生したわけだが、遮音性や音漏れに強い密閉型であるからこそ、ポータブル機と組み合わせ、屋外で使われることを前提とした低インピーダンス機として設計されていることに大きな意義があった。
さらにT5pは、ハイエンド密閉型としての存在力の高さにおいても市場をけん引してきた実績を持つ。ドライバーユニットにおける振動板の動きを妨げないオープン型の構造は、メーカー側としてもサウンドメイクしやすい理想的なものであり、高級機の多くがオープン型であるのもこうした点に由来するのではないだろうか。
これに対し密閉型はユニット背面をふさぐ構造が振動板の動きを制限し、開放的なサウンドを得にくいこと、さらにハウジングの響きが加わることで音色のコントロールが難しく、ボーカルを中心としたセンター定位の音ヌケも含め、自然で高解像度なサウンドを実現させるには相当な苦労が伴うのだ。こうした課題をクリアし、密閉型高級機としてのあるべき姿を指し示した一つの成功例がT5pだった。
テスラドライバーがもたらす緻密でレスポンスの良い高解像度な表現力を密閉型ハウジングで適切にコントロールしつつ、ポータブル機でドライブしやすい32Ωという低インピーダンス仕様とすること。ただT1を密閉型にすれば良いというわけではなく、そのクオリティとサウンドを維持しつつ密閉型に落とし込むのが至難の業であったことは想像に難くない。
そして昨年、高域の不要共鳴を抑えたテスラドライバーの進化や、バッフルへの取り付け位置・角度、精度を見直し、共振ノイズ低減や歪みを抑え込むことで、自然で豊かな低域再現力を獲得した第2世代機「T1 2nd Generation」が誕生。さらにT5pについても改良が加えられ、今回「T5p 2nd Generation」がリリースされることとなった。
T5p 2nd GenerationはT1 2nd Generationと同じく、新世代のテスラドライバーを積むとともに、バッフル形状や素材を見直し内部パーツが原因で発生していた振動ノイズを最小限に抑えクリアなサウンドを実現しているという。
インピーダンスはT5pと同じ32Ω。低域のゆとりある響きがウォームな音色を作り出すとともに、高域のピーク感を抑え込むことでよりソフトな耳当たりを得られるようになった。
イヤーパッドやヘッドパッドは耐久性の高いプロテインレザーへと変更。イヤーパッドのクッション材はメモリーフォーム素材が用いられ、従来よりも厚みを持たせ、ハウジング内の空間をより広く確保することで、密閉型でありながらもオープン型に近い、広がりある音場感を提供することに繋がっている。
そして両出しケーブルも着脱式となり、ポータブル環境に最適な1.4mのショートサイズを採用。導体は7N-OCCを取り入れ、高周波電磁ノイズに強いテキスタイルコーティング(繊布被覆)を施し、末端はストレート形状のΦ3.5mmミニプラグとなった。
T1 2nd Generationと違うのはΦ6.3mm変換プラグがねじ込み固定式ではない点だ。プラグボディから直接ミニジャックが出ているので、プレーヤーとの接続も隙間なく差し込めるため見栄えもよい。また本機でも、オプションのバランス駆動用ケーブル「B CABLE T1 2G」(XLR4ピン)を使うことができる。さらにキャリングケースについてもT1 2nd Generationと同じファブリック素材のセミハードケースが採用された。
実際に装着してみると350gという重みを感じさせない、自然で快適なフィット感で側圧もちょうど良い。耳を完全に覆うアラウンドイヤー設計のイヤーパッドの肌触りもソフトで、外耳とバッフル面との距離感も広く取られているのが実感できる。
beyerdynamicの新たな独自技術、テスラテクノロジーを導入したフラッグシップ機「T1」(2009年)の登場に続き、T1の持つサウンドの魅力を密閉型としてポータブルユースに落とし込んだ「T5p」が2010年に登場した。
セミオープン型であるT1は、音漏れの問題や高いインピーダンス(600Ω)だったこともあり、屋外での使用を前提としていなかった。ユーザーとしてはやはりこの優れたテスラドライバーのサウンドをアウトドアでも存分に楽しみたいと感じていたはずである。
そうした状況はbeyerdynamicでも当初から想定していたようで、比較的早い段階で密閉型モデルとしてT5pが誕生したわけだが、遮音性や音漏れに強い密閉型であるからこそ、ポータブル機と組み合わせ、屋外で使われることを前提とした低インピーダンス機として設計されていることに大きな意義があった。
さらにT5pは、ハイエンド密閉型としての存在力の高さにおいても市場をけん引してきた実績を持つ。ドライバーユニットにおける振動板の動きを妨げないオープン型の構造は、メーカー側としてもサウンドメイクしやすい理想的なものであり、高級機の多くがオープン型であるのもこうした点に由来するのではないだろうか。
これに対し密閉型はユニット背面をふさぐ構造が振動板の動きを制限し、開放的なサウンドを得にくいこと、さらにハウジングの響きが加わることで音色のコントロールが難しく、ボーカルを中心としたセンター定位の音ヌケも含め、自然で高解像度なサウンドを実現させるには相当な苦労が伴うのだ。こうした課題をクリアし、密閉型高級機としてのあるべき姿を指し示した一つの成功例がT5pだった。
テスラドライバーがもたらす緻密でレスポンスの良い高解像度な表現力を密閉型ハウジングで適切にコントロールしつつ、ポータブル機でドライブしやすい32Ωという低インピーダンス仕様とすること。ただT1を密閉型にすれば良いというわけではなく、そのクオリティとサウンドを維持しつつ密閉型に落とし込むのが至難の業であったことは想像に難くない。
そして昨年、高域の不要共鳴を抑えたテスラドライバーの進化や、バッフルへの取り付け位置・角度、精度を見直し、共振ノイズ低減や歪みを抑え込むことで、自然で豊かな低域再現力を獲得した第2世代機「T1 2nd Generation」が誕生。さらにT5pについても改良が加えられ、今回「T5p 2nd Generation」がリリースされることとなった。
T5p 2nd GenerationはT1 2nd Generationと同じく、新世代のテスラドライバーを積むとともに、バッフル形状や素材を見直し内部パーツが原因で発生していた振動ノイズを最小限に抑えクリアなサウンドを実現しているという。
インピーダンスはT5pと同じ32Ω。低域のゆとりある響きがウォームな音色を作り出すとともに、高域のピーク感を抑え込むことでよりソフトな耳当たりを得られるようになった。
イヤーパッドやヘッドパッドは耐久性の高いプロテインレザーへと変更。イヤーパッドのクッション材はメモリーフォーム素材が用いられ、従来よりも厚みを持たせ、ハウジング内の空間をより広く確保することで、密閉型でありながらもオープン型に近い、広がりある音場感を提供することに繋がっている。
そして両出しケーブルも着脱式となり、ポータブル環境に最適な1.4mのショートサイズを採用。導体は7N-OCCを取り入れ、高周波電磁ノイズに強いテキスタイルコーティング(繊布被覆)を施し、末端はストレート形状のΦ3.5mmミニプラグとなった。
T1 2nd Generationと違うのはΦ6.3mm変換プラグがねじ込み固定式ではない点だ。プラグボディから直接ミニジャックが出ているので、プレーヤーとの接続も隙間なく差し込めるため見栄えもよい。また本機でも、オプションのバランス駆動用ケーブル「B CABLE T1 2G」(XLR4ピン)を使うことができる。さらにキャリングケースについてもT1 2nd Generationと同じファブリック素材のセミハードケースが採用された。
実際に装着してみると350gという重みを感じさせない、自然で快適なフィット感で側圧もちょうど良い。耳を完全に覆うアラウンドイヤー設計のイヤーパッドの肌触りもソフトで、外耳とバッフル面との距離感も広く取られているのが実感できる。