T1 2nd Genと同様に新ドライバー搭載
ポータブルハイエンドも第2世代に。beyerdynamic「T5p 2nd Generation」レビュー
試聴環境にはポータブルプレーヤーとしてティアック「HA-P90SD」を用意したほか、据え置き環境にメリディアン「Prime Headphone Amplifier」も用意し、オプションのB CABLE T1 2Gとオヤイデ製XLR4ピン→Φ6.3mm・TRS変換プラグを用い、デュアル駆動のサウンドも併せて確認することにした。
■抜けの良さと高密度な音場表現を両立
まずHA-P90SDで聴いたサウンドだが、高域にかけてのクリアで涼やかな音ヌケ良いタッチと中低域の厚み良くしなやかに表現する高密度な音像の存在感が高い次元で融合し、T5pで感じられた高域の煌びやかさが多少穏やかになり、聴きやすさを高めた印象を受ける。
密閉型としては空間にゆとりがあり、音場の奥行き方向への伸びも自然に表現。音像はくっきりと明瞭に浮き立つ一方で、音場の表現力も高く、臨場感ある響きも両立した、モニター系とは一味違った空間のリアルさを引き出してくれる。
ハウジング内の響きが豊かであり、オーケストラの豊潤なホールトーンもふくよかに描写。誇張のない自然な管弦楽器、ピアノの浮き立ち感も耳馴染み良く、滑らかで艶やかな質感に耳を奪われる。アタックやリリースのスピードも素早く、制動力だけでなくドライブ力の伴ったオーケストラの力感も聴きどころだ。
ボーカルは肉付き良く口元のニュアンスをしなやかにトレース。輪郭も分離良くナチュラルだ。ロックにおけるディストーションギターの表現では中低域のリアリティも高く、パワーコードの響きも太く逞しい。
DSD音源では音像のスムーズな定位感を味わえ、ハーモニクスも深み良く表現。余韻の響きも豊かで階調細やかに減衰してゆく。シンバルやピアノのアタックは澄んでおり、詰まることなくスッと音が立ちあがるイメージ。5.6MHz音源においてはナチュラルな音像の厚み、輪郭感に加え、リヴァーブの涼やかな響きを丁寧にまとめ、余韻の爽やかさが際立つ。ギターの弦は艶良く滑らかで、ボーカルの口元は潤い豊かである。
■据え置き環境でもクオリティをチェックした
続いてメリディアンの「Prime Headphone Amplifier」を用い、据え置き環境でのチェックを行ってみた。Prime Headphone Amplifierは、USB-DACとしては192kHz/24bit・PCMまでというスペックとなっているが、ヘッドホンアンプとしての駆動力は高く、その音色も解像度と密度のバランスが整った躍動感豊かなサウンドを提供してくれるモデルである。
中でもユニークなのは各々個別のアンプを持たせた2系統のΦ6.3mmヘッドホン出力を同時に使い、バランス駆動にも用いられる左右グラウンド独立ケーブルを介し、1台のヘッドホンを繋ぐ「デュアル・モノ駆動」機能を持っていることだ。このあたりはティアックの「UD-503」などと通じる部分がある。